BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

’12ドレスデン十字架合唱団公演&テレビ放映

昨年の12/9にドレスデン十字架合唱団のコンサートに行ってきました。(あれから2か月近く経ってしまいました。)私自身、久しぶりで聴いたナマの少年合唱のコンサート。どうレポを書こうか迷っていたら、NHK-BSでの放送が明日に迫ってしまいました。ああ、もっと早く書くのだった・・・(汗)と後悔しましたがあとの祭り。


想像ですが、恐らく私が見たプログラムに近いのではないかと思って楽しみにしております。今回のドレスデンは、メンバーも30名程度の少人数構成で、お馴染みの大曲((マタイ受難曲ヨハネ受難曲など)ではなく、クリスマス用の小曲集を披露してくれました。更に嬉しいことに、県内の中新田バッハホールに来てくれたことで公演を見に行くことができました。


この中新田バッハホール、私には因縁のホールでした。実は、数十年の昔、レーゲンスブルク大聖堂聖歌隊もこのホールで演奏したことがあったのですが、その時はまだ学生でバスの便もあまり良くなかったため、泣く泣く諦めた、悲しい思い出があったのです。いつか、マイカーで行ってやる!と心に固く誓ってようやく実現したという満足感がありました。


車とはいえ、高速道路で移動するのでそれなりに離れていましたし、あいにくの雪で急に気温も下がり、コンデションはイマイチ。(おかげで翌日から風邪をひいてしまいました。)更に2日前に、緊急地震警報が鳴る震度5弱の地震があり、「地震に慣れていない少年達は大丈夫か?」という心配や、大震災の時の震源地に近かったという地震なので、急遽中止にならないか、と不安になりました。


幸いコンサートは無事に敢行、お客さんも思ったより入っていてホッとしましたし。「田んぼの中の音楽ホール」ということで、創立当初は地元でかなり話題になったものの、「パイプオルガンがある小づくりな良いホール」という感じでした。そこまで音響が素晴らしいというわけでもなかったので、ちょっと期待倒れ。


それはともかく、自由席ということでかぶりつき状態で見られたのもありますが、何より久しぶりに聴くドレスデン十字架合唱団の歌声の素敵なこと!!胸に染み入り、寄り添ってくれるような優しい歌声は、20年前となんら変わらず、ドレスデンの思い出が走馬灯のように甦ってきました。彼らの本拠地である十字架教会で聞いたコンサートや、教会内部の映像や街並みまで思い浮かんでくるという有様で、涙が出そうになりました。

【クリスマスを感じたコンサート】


プログラムに含まれているクリスマス・ソングも、大好きな「ディン・ドン!空高く」や「神の御子は今宵しも」「O Holy Night」などが歌われて良かったですし、ラストのハレルヤ・コーラスでは、それまでの優しい合唱から一転、圧倒的な声量で満たしてくれました。女性ソプラノ歌手とのジョイントだったのがやや残念。地方では、地元の合唱団や歌手なんかとのジョイントが多いので仕方がないものがありますが、歌う曲数が削られてしまうのがとにかく残念でなりません。


しかも、日本人の女性ソプラノ歌手の多くが”オペラ調”というか、いわゆる私の苦手なタイプの艶っぽいソプラノ。宗教曲には、敬虔で厳かな風合いがふさわしく、オペラ風の情感に溢れた歌い方は不要なんだけど・・・とついつい思ってしまいます。*1決して、嫌いなタイプの声質ではなかったので、尚更惜しかったです。


合唱団でソリストとして1曲歌った少年は、笑顔が可愛い少年で最初から目を引いていたのですが(笑)、名前の記載がなかったので、合唱団の公式サイトでメンバー写真を見ながら探してみました。ヤコブ・ウーリヒ(Jakob Uhlig)君という少年かな?*2歌声も安定していて、とてもまっすぐな良いソプラノでした。明日の放送でまた確認したいと思いますが、ソロをカットされないことを祈りたいです。


それにしても、最近の少年合唱の公式サイトはすごい。ほぼリアルタイムで演奏旅行の写真がアップされていました。しかもそこで欲しい写真をリクエストしてサインインすると、ダウンロードが可能となるって、たぶん関係者向けのサービスなのでしょうけれど、アナログ世代としては隔世の感です。こういう時代に、数百年の長い歴史が息づく合唱団に入団する少年達も偉いもんだなあ、と思います。

クラシック倶楽部」− ドレスデン十字架合唱団 演奏会−


 2013.01.29 NHK-BSプレミアム 月〜金曜 午前6時〜6時55分
 (2012.12.7 東京オペラシティホールコンサートにて収録)

【プログラム】

  1. 「高き至福の三位一体よ」
  2. 待降節の歌“来たれ救い主よ”」(編曲)コダーイ
  3. 聖母マリアの夢」(作曲)レーガー
  4. アヴェ・マリア」(作曲)ブルックナー
  5. 「海の星よ」(作曲)グリーグ
  6. 「クリスマス・パストラール 作品56」(作曲)メルケル、(オルガン)ホルガー・ゲーリング
  7. 「耳を澄ませて」(作曲)ウルリヒ・シーチャ、(ソロ)ゲオルク・バルチュ
  8. アヴェ・マリア」(作曲)グノー、(ソロ)ゲオルク・バルチュ、マルク・エリック・ミッチャーリンク、ヤコブ・ウーリヒ、ユリウス・ハウプト
  9. 神の御子は今宵しも」(作詞)ジョン・フランシス・ウェイド、(作曲)ジョン・フランシス・ウェイド、(編曲)デーヴィッド・ウィルコック
  10. 「我らはきたりぬ」(作詞)ジョン・ヘンリー・ホプキンズ、(作曲)ジョン・ヘンリー・ホプキンズ、(編曲)ラルフ・オールウッド
  11. 「もろびと声あげ」(編曲)カール・ティール
  12. 「オラトリオ“メサイア”からハレルヤ・コーラス」(作曲)ヘンデル
  13. 「からたちの花」(作詞)北原白秋、(作曲)山田耕作

以上、NHK公式サイトより引用しました。
ソロ名記載は、全てボーイソプラノの団員でした。


◇2013.1.29追記:1曲目を歌いながら合唱団のメンバーがホール裏手から登場し、通路を通って舞台に上がる、という演出がありました。放送を見て、「そうそう、そうだった!」と思い出しました。少年合唱団のコンサートでは珍しくない演出なので、オペラシティのお客さんは歩いていく団員達に拍手していましたが、地元では馴染みがないせいか、皆ビックリして拍手は起こらなかったような記憶があります。


「耳を澄ませて」を歌ったゲオルク・バルチュ君は、身体は小さいものの、なかなか堂々と緊張を見せずに歌いあげてましたね。やや幼さの残る声ですが、これだけ歌えれば2年後くらいはトップソリストとして活躍するかもしれません。「グノー/アヴェ・マリア」ではソプラノの団員が4人で歌ってましたが、団員それぞれの名前がちゃんと字幕で紹介されていてNHKもサービス良くなったものだ、と感心。


期待したヤコブ・ウーリヒ君単独ソロは聴けませんでしたが、「我らはきたりぬ」という曲で数小節歌ったソプラノがなかなかの魅力でした。やっぱりソロで丸一曲聴けたら良かったなあ、とちょっと残念でした。少人数編成のコンサートといえば、随分前に聖トーマス教会合唱団のコンサートにも行ったことがあり、その時の素晴らしさは忘れられませんでした。


いつも100人くらいの大人数で受難曲など迫力あるコーラスを聴かせている印象が強いため、個々のメンバーは埋もれがちになっていますがやはりそこは伝統のある合唱団生え抜きの少年達だけあって、皆ちゃんと魅力ある歌声を持っているんだなあ、と感心したものです。

【きっかけとなるCD】


昔は、来日する合唱団が日本でレコーディングを行い、演奏プログラムを収録した日本盤オリジナルCDなんかが発売されることがありました。ドレスデン十字架合唱団も、'88年来日組が録音した「ア・カペラの夕べ」というCDが発売されて、とても貴重な音源となりました。最近は、国内盤のCDもなかなか売り出されなくなってしまって、全体的に少年合唱文化の”ジリ貧現象”が感じられてなりません。


やっぱり少年合唱は、コンサートとCDの二束のわらじがなければ、なかなか裾野は広がらないでしょう。世界中であらゆる音源がダウンロードできるとしても、強く興味を持って、次に踏み出すきっかけって意外と難しいんですよね・・・。きっかけ狙いと言えば、ウィーン少年合唱団の3月発売シングルが「花は咲く」だとか。


以前、「ドラ○もん」のテーマソングが発売された時は、「テレ朝仕様、勘弁してよ〜!」な気分でしたが、今度はNHK仕様なのかしら?(笑)。「花は咲く」は、ちょっと懐メロっぽい和風なメロディなので、またボーイソプラノとのアンマッチぶりが感じられそうですが、10年後に世相を感じられる曲になるかもしれません。


ア・カペラの夕べ

ア・カペラの夕べ

'88年来日メンバーによる、特別プログラムを収録したアルバムです。


花は咲く

花は咲く

ウィーン少年合唱団の来日公演に合わせて、企画シングルが発売されるんですね。

*1:特に日本人歌手は、過剰な笑顔や一辺倒の歌い方が多くて、皆似たりよったりなのがちょっと・・・。

*2:BS放映予定のプログラムを見るとソリスト名と一致してそうですね。