BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

家族愛に重点をおいたミステリー

今勢いにのっている伊坂幸太郎さんのミステリー小説『重力ピエロ』を原作とした映画が、地元仙台にて先行公開されたので見てきました。GWだったせいか「仙台シネマ第1作」という前宣伝のためか、レイトショーというのに、意外に人が多く驚きました。


伊坂さんの小説は、この「重力ピエロ」しか読んだことがありません。あとは瑛太君主演の「鴨とアヒルとコインロッカー」*1という映画を見た程度。描き出されるのは、日常的な風景なのに、どこかしら変わってて”ヒリヒリと渇いたような悲しみ”を感じさせる作風という印象。


主な撮影地で仙台が舞台ということでしたが、あまりにローカルな場所が多くて全然分かりませんでした(汗)。ただ、放火事件で出てきた町名が聞き覚えがあったのと、「出身高校がある近くじゃない!ダメだよ、そんなとこに火をつけちゃ。(笑)」ってことぐらいでしょうか。「おたまや(霊屋)橋」が出てくるのですが、「よく読めました!」(→当たり前です)とか。あとはラストが小説と違っててビックリしたこと。

【ミステリーより家族愛】


あらすじ:大学院生で遺伝子工学を学ぶ泉(いずみ)には、ハンサムで自分とは正反対の性格を持つ、春(はる)という弟とがいる。幼い頃から仲良しの二人兄弟は、いつも一緒だ。仙台で起こる謎の連続放火事件。放火現場の近くには、必ずアートグラフィが描かれていた。そこには、何か一定のルールがあるのか?興味を持った春は、泉に事件の謎を調べようと持ちかける。やがてその謎が明らかになっていくに従い、二人の兄弟、そして家族の絆を生んだ「暗い過去の出来事」が姿を現していく。


映像化不可能と言われた作品、という宣伝文句がありました。確かにこの作品のミステリーの部分を追うには2時間では短すぎる。TVドラマにすれば「白夜行」を思わせるような作品にできるかもしれません。ただ、この小説が一番インパクトを与えた家族愛の部分は、しっかりと映画に盛り込まれていました。父親が息子達に語る「俺達は最強の家族だ。」の言葉がジワジワと静かに効いてきます。


もともとがミステリーですし、少しでも糸口を書くとこの映画の持つ魅力が減退すると思うので、ストーリーについては、あまり書かないでおきます。一つの家族を軸にしているので、登場人物は非常に少ないです。それだけに一人ひとりの個性が丁寧に描かれていました。まずは、主役加瀬亮さん、ちょっと気弱なムードで不安を抱えながら生きている主人公役にピッタリ。


そして、重要人物である”春”役の岡田将生君。とても美青年に映ってて、かなりイイ感じです。やんちゃだけど時折”脆さ”もチラリと覗かせていて。原作の春は、もっとタフで頭脳派でつかみどころがない性格という印象を抱かせましたが、岡田君は普通の男の子っぽさを残しながら、なんか「キミは、間違っていないよ。」と思わせる説得力があります。


一番印象に残ったのは、父親役の小日向文世さん。最近は、バイプレイヤーながらも、ものすごい活躍で、どの映画にも出てるような(笑)錯覚をするほどです。若かりし頃の父親も演じてますが、これがなかなかに自然で、外見も堺雅人さんにソックリでした。二人とも昔から仄かな笑顔がトレードマークで、売れてない頃に撮影現場で「何笑ってんだ!」って怒られたことがある、というだけあって、醸し出す雰囲気が似ています。小日向さんには、親としてずっと頼っていたいような安心感がありました。

【子役にも注目】


二人の兄弟の子供時代も、結構重要な位置を占めています。重い宿命を背負った家族の葛藤と愛情こそが主題の作品なので、ここが見どころの一つなんですね。まずは子役がとても本役に似ているところがポイント高し!キレイな岡田君の子役も、やはり美少年の北村匠海君。「あれっ?」と思ったのは、少年期の回想シーンの終わり頃。


「この顔、どこかで見覚えが・・・」と思ったのは、一瞬、とあるCDの横顔と重なったところで。思い出した自分もすごいな、と後で苦笑しちゃったのですが、この北村君、「みんなのうた」で「リスに恋した少年♪」という曲を歌っていました。1年前、店頭で見かけたCDのあまりの可愛さに、完全ジャケ買いしていました。歌の実力はごくごく普通、普通すぎ!って感じでしたが、イメージが合っていたのでしょうか。


目と長めの睫がキレイで、岡田君と同じスターダストプロモーション所属だそうです。美しく成長してくれるといいな、と思います。全然関係ありませんが、同じ「みんなのうた」繋がりで、「CRYSTAL CHILDREN♪」という曲も好きです。(昔のビックマンモスを思わせる)文科省お薦めチックな元気ソング。PVを見た時に、「なんじゃこりゃ、昔懐かしい感じだわ。」とちょっと驚きましたが、ハーフや外国人の少年少女も混じって歌い踊るキッズ達に釘付けとなりました。


それはともかく、「果たして”仙台シネマ第二弾”ってあるのか?」という別なミステリー(笑)もあるのですが、同じ伊坂作品で堺雅人竹内結子主演の『ゴールデンスランバー』が控えているので楽しみです。なんといっても、堺さんが仙台で撮る!、ということにやたらと興奮(ミーハーの血が騒ぐ)しております。


重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

原作小説です。厚めですが、一気に読めます。原作では、ミステリー部分にもっと父親が関与していたような・・・。


4曲収録のうち、北村君は1曲しか歌っていないのが残念。将来お宝になったりして?


CRYSTAL CHILDREN(DVD付)

CRYSTAL CHILDREN(DVD付)

なんか口ずさんでしまいそうな覚えやすい曲ですし、PVが面白い!でも、元気すぎる女の子達がちょっと怖い(→マセててやたら自意識過剰すぎるんです、この年頃の女の子って。)けれど、ハニカミ笑顔の男の子達が可愛かったです。

*1:映画で核となる”コインロッカー”のシーンは、仙台駅3F南口の新幹線改札口の左側で、いつも通っている場所でした。