BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

春を連れてきた、リベラ初めての仙台公演

昨年にリベラの再来日が決定!と聞いた時、今度こそ聴きに行けないだろうなあ、と覚悟していたのですが、奇跡が起こりました。少年合唱の招聘では、非常に立ち遅れていていつも失望する、この仙台で初めてのリベラ公演が開催されたからです。


いつだって満員になるはずのウィーン少年合唱団は、久しく呼んでくれないのに(涙)、何故今回に限って、リベラを呼べたのか摩訶不思議でなりませんが、それはそれとして日本でたった3回しか予定されていないフルコンサート、しかも最初の公演を、地方公演で見る、という初物づくしでとても新鮮でした。


パンフレットを開いてまずびっくり。初来日からずっと参加していた、リベラの顔であるトーマス・カリー(Thomas Cully)がいない!彼もとうとう変声しちゃったのか?!実は、トムのいないリベラってどうなんだろう?と案じておりましたが、何の前ぶれもなしに”その日”がやってきたのです。


しかし、ソリスト不在でもリベラは死なず!幾分、荒削りの部分はありながらも、幼い少年達に至るまで全員が力を合わせて立ち向かってくれて、新鮮で感動的なコンサートになりました。23人の来日メンバー(現在リベラ全員で40名と解説してました。)の2/3くらいがソロをとっていた気がします。

【演出と構成】


前回までと大きく変わったのが、スクリーンが設置されたことだと思います。これにより、少年達のMCが通訳無しにスムーズに楽しめて良かったです。曲に合わせていくつかのイメージ映像も流れており、幻想的な雰囲気がより一層盛り上がりました。


歌いながら隊列が変わるのは、リベラの演奏の特徴。両手を組んだり、しゃがんだり、横を向いたり・・・と何気ない小さな動きの連続ですが、非常に効果的で、見てる人々の集中力を途切れさせません。子供が飽きて騒ぎ出したり、ということがないのが素晴らしいです。フードを被る回数も今までより減った気がしました。ソロの少年が誰か見分けることができて私的には嬉しいです。


第一部が、今までの”リベラ節”で作られてるとすると、第二部はピアノ演奏で始まり、「眠りの精♪」なんかもあってリベラというより、普通の少年合唱団っぽい感じがしました。オリジナルアルバムの中でも割と毛色の違う『NEW DAWN』という新作からの曲があるため、新鮮です。

【印象に残った曲とソリスト


今回は、馴染みのメンバーのジョシュア・マディーン(JOSHUA MADINE)が4,5曲ソロをとっており、嬉しかったです。笑顔がとても可愛いので目についてしまうのですが、トムを彷彿させる存在感でした。身長は随分大きくなっていましたが、声はまさに少年らしい凛とした声で気に入っております。


ジョシュアの声で「あなたがいるから」*1を聴けたのが最高に嬉しかったです。そして、「彼方の光」は、”ミニ・ベン”ことベネディクト・フィリップ(BENEDICT PHILIPP)。歌はもちろんですが、MCでのパフォーマンスも人一倍派手で個性的な少年です。


どちらも日本生まれのオリジナル・ソングで、村松崇継さんの作曲。これがまたリベラの音楽性に「和の心」をブレンドして化学変化を起こしたような素晴らしいサウンドになりました。元々のリベラの世界は、「聖なる魂の歌」という感じなのですが、村松作品は、例えてみればまさに「演歌」、ワビサビです。


人の感情に直接に訴えかけてくる、そこが少年合唱に特に関心があるわけでもない(実際、そんなタイプの友人にも好評でした)大多数の日本人の心を揺さぶるんだと思います。リベラに興味がなくてもこの2曲をナマで味わえるだけでも見る価値があるもんですって(笑)。


第一部が終わって、「あれ?エドワード・デイ(EDWARD DAY)がソロを歌ってないのでは?」「彼も変声期?」と思ったのですが、第二部の中盤で「で〜た〜(笑)!」とばかりに強烈な高音ソロで存在感をアピールしてました。最後の「リベラ♪」を歌ったリアム・コネリー(LIAM CONNERY)は、前回公演でも同じ曲を歌ってて、嬉しくなりました。オブリガードも美しく力強かったですし。初めて声を聴いた沢山の歳若い少年達も皆、甲乙つけがたい魅力がありました。


かなり小さい少年達は、まだまだ細く可愛らしい歌声ですが、それでもあと2年もすれば立派に歌いこなすだろうなあ、と思えるほどの素質は持ってて、リベラの今後も安泰だなあ、と安堵しました。今や世界的にも有名な少年達となって、入団希望者も沢山いるでしょうが、まず”地元で生まれ育った歌が好きな男の子”を選んでいる、という姿勢は変わらない気がして好ましいのです。


個人的には、リベラの曲は芝居や映画、他のミュージシャンのコンサートなどでも使われていたりするので、その思い出がパーっと浮かんできて、別な感動もありました。ロックのコンサートで流れていたのが「そうか、この曲だったのか!」やっと曲目が判明したのもあって、収穫がありました。それにしても久しぶりにボーイソプラノネタ書いたなあ・・・。


祈り~あなたがいるから

祈り~あなたがいるから

コンサート会場で沢山売っていた最新作のアルバムです。但し、ベスト盤なのでリベラ初心者向けという感じですね。大好きな曲「あなたがいるから」は、次作オリジナル・アルバムに収録されるのを待ちます。待ち遠しい・・・。


新しい夜明け

新しい夜明け

しょっぱな「オリノコ・フロウ」が流れるのに軽い衝撃を受けたオリジナル・アルバム。ちょっと斬新なイメージのアルバムです。

*1:映画「誰も守ってくれない」主題歌