BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

映画「誰も守ってくれない」 主題歌に誘われて

2本目に見た映画が、24日公開となった『誰も守ってくれない』でした。この映画は、珍しく昨年の冬から絶対見るぞ!と気合を入れていた作品です。きっかけは、主題歌であるリベラの「あなたがいるから♪」。ちょっと横道からの関心でしたが、他にも志田未来ちゃんの翳りのある表情とストーリー性が決め手になりました。


あらすじ:18歳少年が引き起こした少女連続殺人事件。犯人を兄に持つ15歳の妹沙織は、突然マスコミや周囲の人間の好奇心と糾弾の声にさらされ、家族とも離れて、勝浦という刑事と行動を共にすることになる。どこに隠れても、執拗に追ってくる”見知らぬ人々”に怯え、頼る者もいない沙織は心を閉ざしてる。彼女を守る使命を持った勝浦も、過去の事件のトラウマを抱え、夫婦の危機にも直面している。二人は、どこへ行こうとするのか。。。


一つの重大殺人事件で加害者の身内となった少女と行動を共にすることで、揺れ動く刑事、勝浦(佐藤浩市)が主人公の映画です。「踊る大捜査線」で有名な脚本家・君塚良一さんと亀山千広ロデューサーの作品なので、スピーディな展開とシリーズ物の刑事ドラマのような人間味が盛り込まれています。


見終わってから、どちらかというと佐織の複雑な心情をもっと掘り下げて欲しかったなあ、と思いました。言葉の代わりに突き刺さるような彼女の厳しい瞳が、一番印象的だったので、もっともっと見たかったです。


中だるみもなく、最後まで疾走していくストーリーですが、後半、ネットの暴力や悪意に追い詰められていく勝浦&沙織を見ていて、「踊る〜」を連想させられました。現実を込めて甘いお話にしたくない気持ちは分かりますが、ちょっとやりすぎじゃないかな〜(汗)、と思う部分もありました。君塚氏は「ネット=邪悪の温床」という発想がやや強いのかしら?


少年子役としてお気に入りの冨浦智嗣君が沙織のBFとして出演していたのは、とても得した気分!で嬉しかったのですが、事件直後からの彼の”役割”というのが冒頭から読めてしまったのが残念。全体を通しての見どころは、勝浦と沙織のヒリヒリとした緊張感。撮影中も、カッチリ線引きして、「未来ちゃんに、ほとんど優しい声をかけなかった。」という佐藤さんの後日談に納得しました。


後輩の三島刑事役の松田龍平君も、久しぶりにちゃんと演技を見たら、独特の空気を作り出してて唸りましたし、勝浦の精神科医である木村佳乃ちゃんも、オトナの女ぶりがよろしくて、なかなか見応えがありました。


同じ日の夜に、スピンオフドラマ「誰も守れない」が放送されて、二人はそちらのほうで見せ場が沢山あったので、映画でも脇役以上の存在感が出てたのは、こういうのもあるのか、と。「背筋が凍るね」とか「シャ○中にするぞ」とか、三島の口癖の由来も分かりましたし。


それにしても映画初日にもうスピンオフが放送されてしまうところが、フジテレビらしいというか、あまりのタイミング狙いに驚きました。映画の伏線がいっぱい隠されていて、ハハ〜ンという感じ。公開初日から映画予告に「大ヒット中!」という文字が出るのも、気が早いというか・・・(苦笑)。

【映画主題歌と今年の来日公演】


期待のリベラの新曲「あなたがいるから♪」は、映画冒頭*1から、すぐに流れます。分かっていてもやっぱりすごくいい。かつて日本のドラマ(氷壁)で評判になった「彼方の光♪」に匹敵するような美しいメロディ。この映画で一番完成度が高いのは、兄の逮捕を知らずに笑顔で学生生活を送っている沙織と、警察&マスコミが飛び出していく、声のない映像かもしれません。


リベラのどこまでも純粋ではかないボーイソプラノは、こんな生々しい物語であっても、「救い」を感じさせるんですね。はかないけど生命に満ち溢れているクリスタル・ボイスです。つくづく彼らが映画音楽でも引っ張りだこの理由が分かりました。


リベラのメンバー数名が映画宣伝を兼ねて来日していたのは、知っていたのに、テレビ出演はことごとく見逃しました(涙)。こういうところ、詰めが甘〜いワタクシです。ちょっとメゲましたが、今年は4月に来日公演があり、幸いにも地元で見られるというお楽しみが控えているので、立ち直ります!何気に来日公演は全て見てる、というのも我ながら驚きです。


祈り~あなたがいるから

祈り~あなたがいるから

映画の主題歌とリベラの名曲集を集めたミニアルバムです。私自身、とても欲しいのですが、発売されたアルバムは全て持ってるので、新曲が次期アルバムに含まれるのを待ちます。


*1:スピンオフドラマのラスト予告とほぼ同じ。