この作品がオペラになっている、と知ったのは漫画家たらさわみちさんの紹介記事の中でした。そこには、当時、テルツ少年合唱団の名ソリストだったアラン・ベルギウスがマイルズ役で舞台に登場した、とありました。
黒い貴族風の子供服を着ながら直立不動で歌うアランの横顔の写真を見ているだけで、まるでそこから歌声が聞こえてきそうな錯覚を覚え、強く興味を持ちました。
実際に全曲を通して聴いてみると、オペラのほうは女性ソプラノ比率*1が高く、エキセントリックな歌唱も多いし、メロディも不協和音のようで、あまり心地良いとは思わないのですが、ボーイソプラノ・ソロで歌われる「マーロウの歌」(Scene6:The LESSON)を映像で見るとまたちょっと印象が変わりました。
シュベツィンゲン音楽祭のオペラ映像('90)で見た、ふくよかなサム・ライネイ(=健康優良児的マイルズ)が歌うソロは素朴であまりおどろおどろしくはありませんでした。時折試すように家庭教師のミス・ジェスルを見つめるクリクリとした黒い瞳を見ているとマイルズという少年は必ずしも虚弱体質で神経質な少年のイメージでなくてもオーライなんだな(笑)、と思ったり。むしろ、フローラ役を日本人女性歌手が歌っていたのですが、こちらのほうが違和感があって怖かったです。*2
友達Yちゃんの薦めで購入した『The Turn Of The Screw』というDVDは、英BBC製作の優れものでした。日本語字幕はありませんが、とにかく映像がとびきり綺麗。薄気味悪さは残しつつ、芸術的な映像美にはいたく感動しました。亡霊達もひどく人間くさくて、古めかしさをあまり感じません。マイルズ役は、ニコラス・カーヴィ・ジョンソン(Nicholas Kirby Johnson)というボーイソプラノソリストでした。彼は別にソロCDも出していますが、ちょっとかよわいソプラノでした。
クラシカルな服を着込んだNicholasの「小さな英国紳士」といった風貌はなかなかチャーミングです。サム・ライネイとはタイプが違いますが、”健全な少年”が垣間見せる仄かな色香を感じました。(特に白くて長いパジャマ?がよろしい(笑))マイルズもフローラもいろんな子役のタイプで見るとそのつど違う作品を見てるように感じます。それだけまだまだこの題材はいろいろと料理のしがいがあるのだなあ・・・と思います。究極のマイルズは何処に?
※画像は、Dominoes Level Two: The Turn the of Screw
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