BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

’08ウィーン少年合唱団 来日公演(5/3 サントリーホール Aプロ)

毎年ウィーン少年合唱団が来日するようになってから、プログラム内容もほぼ固まってきて、後で振り返ると、あまり違いが分からないことが多くなりました。今年は、オーストリア出身の少年が多かったため、顔立ちがウィーン少年合唱団ぽかったのが嬉しかったです。


今年のメンバーは、'05年来日組を思わせるハーモニーと事前に聞いたためか、本当にソックリに思えました。ソプラノがビンビンと良く響いて、冒頭からなかなかの迫力。第一部の宗教曲集は、私が最も気合を入れて聴いているパートなのですが、今年はマナー最悪の親子に邪魔されて全く集中できず、残念無念でした。


確かにこと”音”に関しては、私自身人一倍神経質なことは認めますが、こういう経験をすると演奏会に出向くことが嫌になってきます。音楽に全く興味がない子供が、飽きてわざと騒ぎ出すのを無理やり席に座らせて我慢させるのも、ある種の拷問だと思うのですが、そういうことが理解できない親が、いつになってもいるものです(溜息)。


せっかくのコンサートの楽しさが半減した出来事でしたが、それとは別に少年達は、楽しそうに目をキラキラと輝かせて存分に歌っておりました。中でも自分の声が楽器とアンケートに答えていたソプラノソリストマヌエル・メルト君は変声期前の絶頂と思われるソプラノボイスを存分に響かせてました。


まあ幾分コーラスの中でも過剰に目立っておりましたが(汗)、あの笑顔を見てると許せてしまう。ナイジェリア出身のボーイアルト、カヨーデ・オルクベンガ君は、『来たれ、汝ら芸術の子よ』より「Strike the viol」 を歌ったのですが、気持ちの良い地声アルトで印象的でした。

【観客も一緒に楽しむ第二部】


第二部の世界の民謡になると、もう「ドラケンスバーグ少年合唱団か?」と錯覚するくらいサービス満点の楽器演奏やら踊りやらで楽しませてくれるのですが、今回は、ティルマン君がチェロを演奏。その穏やかなチェロの音色がサントリーホールに充満して、とても心地良かったです。


ペルー出身の指揮者イコチェア先生は、とても情のあるタイプのようで、ラテン系の朗らかさが魅力でした。ピアノの前に座って曲を弾き始める前に少年達へ、「スマイル!」と顔で何度も表情で合図してたため、団員は可愛いニコニコ笑顔。団員を国籍別に紹介したり、客席にも手拍子での参加を求めたりと、ムード作りがうまい。途中から客席参加型のコンサートになってたような。


これといって気に入ったソリストはおりませんが、疲れをときほぐしてもらった公演でした。パンフレットには、なんと'86年来日組のミヒャエル・シュビンデンガー君の現在が紹介されており、大感激。当時、ゲオルク・ニグル君と並んで忘れられないソプラノソリストだった彼。その後の消息を全く知らなかったので歌手に音楽教師から歌手へと転身した、という事実に驚きました。歌い続けていてくれたことがなんだかとても嬉しかったです。