BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

堕ちた偶像(アイドル) 赤坂晃 

彼を追い詰めたものは何なのか?

一昨日、『光GENJI赤坂晃覚醒剤取締法違反により逮捕』というニュースを聞いてから「堕ちた偶像」という言葉が妙に頭にこびりついて離れません。「落ちた偶像」という白黒映画がその由来で、この映画自体は1度しか見ていないのですが、主人公の少年の不安そうな表情だけを覚えています。


実のところ、このニュースを聞いた時、ほとんど衝撃がありませんでした。もちろん、あの赤坂君が犯罪に手を染めることを昔から予期していたわけではありませんが、芸能人として注目されて生きることに不器用そうな人柄や、必ずしも先行き順調とは思えないような活動を振り返ると、そこにポッカリと「闇」が見えてきてしまったからでしょう。


一世を風靡した光GENJIとして彗星のごとくデビューした14歳の少年の頃、そのハーフのような顔立ちに惹かれ、最初に写真を買ったのが彼でした。アイドルとして何か特別な才能を持ってる、というより、ただただ若さの持つ一瞬のキラメキ、駿馬のような伸びやかさが彼の武器でした。「STAR LIGHT♪」で聴かせた変声直前の歌声の印象も強烈でした。


同じ年頃でありながら、やんちゃな末っ子ぶりで強烈な個性を感じさせたアックン(佐藤アツヒロ)に比べ、背が伸びていくと同時にちょっと地味な存在に引っ込んでしまった赤坂君。その後、思いもかけず大学入学*1という話を聞いた時は「もしかしたら、芸能界引退後の先を見据えているのかな?」と思って感心したり。

光GENJI解散後】

しかし、派手なアイドル人生に幕を下ろした後も、彼はジャニーズ事務所に残り芸能活動を続けました。その時は、「えっ、残るの?大丈夫かな〜。」とちょっと驚いたのですが、地道に舞台で頑張っていたようですし、もちろん自分なりに努力も重ねていたと思います。最後に見た舞台はミュージカル『BIG』*2


いつの頃か覚えてませんが、結婚し子供が生まれた、という話も聞いて、あの小さかった少年が・・・と感慨も感じたものです。しかし、SMAP以降、若い頃からバラエティーや映画・舞台などで個性を磨く後輩達に比べ、光GENJIまでの世代は赤坂君のみならず茨の道という感じだったので、大丈夫かな?という一抹の不安は持っていたものです。


とはいえ、私はそうまで熱心なファンではない(コンサートには2回行きましたし、グッズやCDも買ってはいるものの・・・)ので、あくまで第三者的な関心に留まってました。むしろ今でもショックを受けている元/現ファンや彼の家族を思うと、気の毒でなりません。いつだってショックなのは応援してきた人々ですから。

【芸能界の光と陰の狭間で】

それにしても、今回の事件は浮き沈みの激しい芸能界に身を置き、人の歓声を浴びる快感に酔いしれていたのも束の間、弱みを見せた途端に引きずり込まれ破滅させられてしまった・・・そんな罠に落ちた1人の犠牲者という哀れさを感じさせます。もちろん、どんな境遇に陥っても犯罪に手を染めない芸能人、どん底から這い上がって成功した人々もいるだけに赤坂君に100%同情をしているわけでもないのです。


人に言えない悩みや苦しみを持っていたにせよ、クスリへの好奇心か、現実逃避・自暴自棄か、はたまた家庭不和か、原因を探ったところで憶測にすぎないし、結局本人にしか分からないでしょう。(やっぱり孤独だったのかな・・・なんてふと思ったりしましたが。)


思い出すのは、ハリウッドで名子役で名を馳せた少年少女達の転落劇。聞いただけでもかなりの数ですし、日本でも、「子連れ狼」「コメットさん」の名子役だった西川和孝が、議員まで上り詰めつつも殺人を犯して無期懲役を受けるなど、小説を凌ぐような事件もありました。大小問わず、芸能人の事件簿も数多くあります。


華やかな芸能界の光と陰の境界線に立つ「元」少年達。沢山の少年達の屍を喰らって、また今日も新しいスターが生まれ行く。綺麗な美少年達が、たった一度しかない若さと青春の輝きを生贄に捧げて、一瞬のはかない栄光を受け取らんがために・・・。その生き血を吸って、飽きれば骸をポイと捨ててる残酷な化け物は、本当は私達自身なのかもしれません。


赤坂君は、一体どこで道を違えてしまったのでしょうか。元アイドルの転落人生・・・と騒がれていますが、まだ一個人としての終わりではないはず。彼がもう一度、1人の人間として這い上がり、地道にやり直していってくれればいいな、と(他人事ながら)願ってしまいます。


光GENJI ベスト

光GENJI ベスト

たとえ今がどうであれ、過去の栄光であれ、曲達に罪はない。この頃の穢れない透明な歌声が澱んでしまうことはないと信じてます。唯一、歌唱力は求めませんが(苦笑)。

*1:実は中退だったらしいのですが。

*2:この時は、赤坂君が目当てではなかったのですが・・・。