クセモノ好きでありながら私が最も理想的と思うボーイソプラノは、セバスチャン・ヘニッヒ(Sebastian Hennig)君です。彼はハノーバー少年合唱団で'80年代前半に活躍したソリストでした。日本には、'81年頃来日しているそうですが、残念ながら存在すら知りませんでした。*1
その後、今に至るまであまり情報は多く得てませんが、ハノーバー少年合唱団の指揮者であった故ハインツ・ヘニッヒ氏の息子さんであることと、現在もハノーバーでバリトンとして活躍していることだけ知ってます。現在の恰幅の良いお姿(汗)はネットで見ることができます。
セバスチャン君の美声に誘われたのは、「ペルゴレージ/スタバート・マーテル」でした。そろそろ民謡・ワルツやポルカ・小曲集などにも飽きだしてきた頃、バロック期の宗教音楽であるスタバトに出会い、第一声で文字通り腰を抜かさんばかりの衝撃を受けました。
ボーイソプラノとカウンター・テナーのルネ・ヤーコプス氏*2とのデュエットは、私の想像を超える出来栄えだったからです。哀調を帯びつつも、神々しいほど美しい曲の数々。それから15年ほど過ぎた今でも、いえ、これからも永遠に大好きな1曲となると思います。
セバスチャン君の歌声は、力みがあまりない自然な発声でありながらも、どの音も見事に安定しており、耳にとても心地良く響きます。感情過多であるほど、宗教曲であるスタバトの世界から離れて行くと思うのでその点では、バリバリの技巧派でないほうがこの曲の味わいは伝わるのかもしれません。
まさに少年にしか出せない、実に”男の子らしい”歌声なのも嬉しいし、まるで聴き手に語りかけるようにハッキリと澱みなく歌いかけてくる説得力にも惚れこみました。ルネ・ヤーコプス氏の抑えの利いた歌声も(違和感が残りがち?な)カウンター・テナーの中では非常に優しく響いてきて、まさに”至福”を感じます。
セバスチャン君が活躍した時期のハノーバー少年合唱団の録音はさすがに多く、「Kleine Geistliche Konzerte 」や「バッハ/カンタータ大全集」(レオンハルト・アーノンクール版)でもかなり多くソロを取ってます。CDだけで熱烈にファンになったのは、彼が初めてかもしれませんが、それだけに今でも忘れられずにおります。
余談ですが、ペルゴレージのスタバート・マーテルは、J.S.バッハが「詩篇51番」として編曲しています。ラテン語をドイツ語へ翻訳して歌詞も変えてますし、一部旋律が印象的に変わるところもあり、そちらもなかなかの出来栄えです。バッハ版を聴いたのは、聖フローリアン少年合唱団が初めてでしたが、こちらは来日したSiegfried Ertelthalnerが歌っており、なかなかに興味深い一枚になってます。
また、聖フローリアン少年合唱団オリジナル制作?('92)でデュエットしている2人のソリスト、Florian Meixner君とGregor Bauernschmiedt君も素朴な味わいで大好きです。この2人も'93年に来日してますが、Gregor君のアルトは、胸に染み入る歌声でいまだに忘れられないですね。
スタバトについては、ボーイソプラノの歌うCDも比較的多いと思うので現在進行形で集めております。バロック音楽はどこか懐かしくて、自分のルーツ、のような気がします。
セバスチャン・ヘニッヒ プロフィール:
Sebastian Hennig (Boy Soprano, Baritone) - Short Biography
STABAT MATER
元祖!セバスチャン・ヘニッヒ君のスタバト。やはりこれがマイベストですね。廉価版も多数出てます。
- アーティスト: Pergolesi
- 出版社/メーカー: Berlin Classics
- 発売日: 2005/10/01
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- アーティスト: Vienna Boys Choir,Strauss,Pergolesi
- 出版社/メーカー: Pearl
- 発売日: 1996/05/21
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- アーティスト: Bach,Kepler Consort,Letzbor
- 出版社/メーカー: Symphonia
- 発売日: 2000/09/30
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