BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

私を泣かせる、英国少年の美声

sugiee2011-10-04


わが心の友(シュミ友)、Yちゃん推薦の素敵なアルバムを紹介します。以前から、ジャケットを見て興味を持っていたのですが、再入荷で手に入れてホクホク。イギリスの有名聖歌隊、オックスフォード・ニューカレッジ聖歌隊の『THE ART OF THE CHORISTER』です。ろうそくの前で聖歌隊服姿の少年達が並ぶ美しいジャケットに一瞬、ワシ掴みにされます。


しかし、決してイギリス系聖歌隊が得意とは言えない私にとっては、とびきり可愛い・美しい少年のドアップ写真は、手を出すと痛い目にあう”薔薇のトゲ”だったりします。これぞ、イギリス系の聖歌隊の必殺技ですからね(笑)。買ってみると「あちゃ〜。」ということが何度かありました。消え入りそうなはかなくも穢れを知らない歌声と眠くなるような単調な曲が延々と続く・・・オソロシサ。もっとも、私が苦手なだけで好きな人にはたまらない世界でもあるから難しいです。


とはいえ「ジャケットが可愛いアルバムは要注意!」が、一時期、私とファン仲間との合言葉になっておりました。一方、ニュー・カレッジ聖歌隊は、か弱い純真なボーイソプラノが多いイギリス系聖歌隊の中でも、キンキンキラキラの響きに力強さを兼ね備えている貴重な合唱団。本国でも伝統だけでなくその実力も高くかわれているようで、発売されているアルバムの量が半端ないです。


今回のアルバムは、コリスター*1が数名ピックアップされ、ソロ・デュエット・トリオで歌っています。1曲目の「メンデルスゾーン/ラウダーテ・プエリ」から感動に震えました。その昔、少年合唱団のコンサートで何度か演奏された耳馴染みの宗教曲が続いて、もう一瞬にしてタイムスリップ。


ソロを務める少年達は、主にHenry JenkinsonOtta JonesRobert Brooksの3人。安定していて危なげはないけれど、上手すぎない(笑)ところがなんともたまらない魅力です。声質が、もう私のストライクゾーン!素朴さを残していて、かなり好きなタイプのボーイソプラノである上、ちゃんと個性もあって、聴いてて飽きません。


パーセルペルゴレージモーツァルトの作品など曲も面白くて童心に返って楽しめました。技巧バリバリでないくせに妙に説得力もあって、心にストンと入ってきます。ボーイソプラノの宝庫であるイギリスで、ソロアルバムを出すソリストも数多いのですが、なかなか最後まで気を抜かずに聴くのは難しいので、3人くらいのソリスト達で、バラエティ豊かに歌うのはいいものですね。


もうボーイソプラノを追いかける熱意は無くなったかな、なんてちょっと疲れて不安になったときに聞き返したい1枚です。


Art of the Chorister

Art of the Chorister

長らくこんなアルバムを待っていた、と思った魅力的なアルバムです。

【飛び抜けて聴き返したCD】


所有するイギリス系のアルバムの中でもダントツに好きで聴き返して楽しんだアルバムがあります。ウィンチェスター・カレッジ聖歌隊の『The Quiristers of Wincester College』です。こちらもコンサートでよく歌われる、有名作曲家(メンデルスゾーンブラームスモーツァルトシューベルト)の小曲を散りばめた面白い作品で、何度聴いても魅力が色褪せないアルバムです。


曲もいいですが、ソリストがまたいい。クセがない、気持ちのいい、リラックスボイスが続くのでほとんど負担がないのです。主にFrancis BrettEdward Evershedの二人がソロやデュエットを受け持っています。この二人は、流れるように自然に歌ってるのですが、独創的な味わいもあって面白いです。(他にWilliam GibbTom Selingman等。)たまにバックで流れるコーラスもとても穏やか。全体的にα波の漂う作品群です。


中でもお気に入りは、オペラ「魔笛」からの”Hm, hm, hm, hm, Quintet”。少年ソプラノの十八番である三童子の歌は定番すぎて、もはやあまり感動はないのですが、この曲は少年のソロで歌われるとすごく魅力的で、ついついリフレインしたくなります。テナーやバスも一緒に歌っているのですが、音の厚みが出るからといって、決してボーイソプラノを邪魔せず、素朴な歌声の魅力を倍増させてくれてます。


あとは最後の方に入ってる「メンデルスゾーン/妖精の歌」ですね。この曲は、ウィーン少年合唱団のファンになったばかりの頃のアルバム(復刻盤)に入っていたので、ひときわ思い出深いのですが、案外、収録してくれるCDは少ないのです。独特の世界観を感じさせる名曲だな、と思います。


Choral Music

Choral Music

とにかくスッキやねん!ジャケットの緑と同じくらい純粋な歌の世界が広がります。

【かつて天使だった、甦るボーイソプラノ


輝かしいイギリスのトレブル文化を代表する、往年('60〜'80年代)の少年達のソロアルバムから数曲を抜き出してオムニバス形式で作られたCDもあります。すでに3枚も発売されているところを見ると結構好評なのかもしれませんね。ここに収録されているのは、主にLP時代に活躍した少年達でCDに復刻されたことが画期的です。しかも、音質もかなりクリアで最近のものと比べても遜色ありません。


嬉しいことにブックレットには、当時の少年達の写真も載っているので見比べながら聴くとまた一興。「この消え入りそうにはかなく可愛い声が、ごついルックスのこの子なの?!」なんてビックリしたり(笑)。いっそそれぞれのソロアルバムを復刻してもらった方が嬉しい気もしなくはないですけど、いろんなタイプの声が聴けるので、これはこれで楽しいかな。


これらのCDに収録されている幾つかのソリストのソロアルバムはLPやカセットで持っていますが、やっぱりCDは便利。中でも”Andrew & Chrstopher”は、ちょっと哀調を帯びたせつなくはかない歌い方が好きでした。時代のなせるワザなのか、この当時の少年達はなんかシャキッとした、凛々しい顔立ちの子が多い気がします。可愛いのですが、目元がオトナっぽいというか。モノクロの写真のせいかしら(笑)。


中には、Paul Duttonのように親子揃ってトレブル・ソリストというすごい人もいます。息子は、第二期・The Choirboysのメンバー、William Duttonだとか。私も最近、知ってビックリしました。美声も遺伝するのかもしれませんね。でも、家に少年時代の父親のソロレコードとかあったら、絶対息子も興味持つでしょうね、ましてや周りにも「お父さん、昔は綺麗な声だったんだよ。」なんて聞かされて育つわけですから。


ボーイソプラノソリストの復刻盤CDも、もっと手に入りやすくなると嬉しいです。


Once Were Angels/Tradition of

Once Were Angels/Tradition of

Once Were Christmas Angels

Once Were Christmas Angels

Twice Were Angels: Tradition of Boy Trebles 2

Twice Were Angels: Tradition of Boy Trebles 2

いろんな輸入盤があるようですね。平均して10人程度のソリストのオムニバスになってます。ソリストは、結構重複してます。


Sound of the Boy Treble

Sound of the Boy Treble

前述の3枚のアルバムと、ソリストはほぼ重なっています(曲も同じもの?)が、ソリスト別に数曲まとめられているので聞きやすいです。Peter Davey, Robin Blaze, Dara Carroll, Andrew Wicks, Michael Criswell, Andrew Brough, Christopher Smith


Welsh Boy Trebles

Welsh Boy Trebles

少し最近のCDなのですが、ウェールズボーイソプラノのオムニバス。アレッド・ジョーンズを皮切りに収録されています。

*1:ボーイソプラノからボーイアルトまでの少年パートを歌う少年達の総称。イギリスではアルトパートを男性カウンターテナーが歌うことが多い。