BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

ボーイソプラノがテーマの漫画作品

ボーイソプラノや音楽モノを扱ったコミックを特集してみたいな、と思っていました。しかし、どうも私が知っているものは、懐古趣味的になりがち&ボキャブラ不足のため(苦笑)、なかなかまとめる気にならなかったのですが、えーい!と勢いで取り上げてみました。かなりのマイナージャンルですが探せば結構いろいろありますね。


ウィーン幻想/竹宮恵子

表紙の奥ゆかしい制服少年イラストに触発され、1978年のウィーン少年合唱団来日メンバーグラビアカラーページからスタートする、超理想的な一冊。若かりし頃の私にウィーン少年合唱団レーゲンスブルク大聖堂聖歌隊という別世界へ誘ってくれた竹宮恵子さんの入門編的な少女漫画です。


少年合唱団とはどんなものか、少年達の儚い友情と音楽の世界など、映画「野ばら」を連想させる漫画でした。まだヨーロッパが宇宙くらい遠い存在だった頃の、キラキラの世界を描いてくれています。願わくば、「この時代に戻りたい!」と痛切に思うほど麗しい世界です。


ウィーン幻想 (1979年)

ウィーン幻想 (1979年)


バイエルンの天使たち/たらさわみち

テルツ少年合唱団を一躍知らしめた功績の大きい漫画です。合唱団創立時のエピソードやオペラについて、'80年代ソリストの実エピソードも交えて(しっかり取材して)描かれているので、非常にためになります。この漫画を見て著しく興味を引かれ、録音を入手したアラン・ベルギウスなど、音楽とも繋がった楽しみ方ができました。


この作品ですらいまや古典になりつつありますね。月日の流れは早いものだ・・・(溜息)。ちなみに題材となったテルツ少年合唱団やドイツ国内でもたらさわさんの漫画は紹介されています。


バイエルンの天使 (1) (講談社漫画文庫)

バイエルンの天使 (1) (講談社漫画文庫)


少年ノート/鎌谷 悠希

かなり最近のコミックで(現在も続行中)、ネットニュースでその存在を知りました。独特の感性と天使の歌声を持つ中学生ゆたか少年を主人公にした作品ですが、主人公だけではなく彼を取り巻く合唱部の仲間の心理描写なんかも多いです。


ひとコマひとコマが大きく、私的には散漫な印象でした。刊行ペースが速かったため*1、まだ2巻くらいしか読んでいないので、これから一気に読み直してみようか、と思案中。今のところ作品世界が、私の苦手な表現の仕方で(やたらと大袈裟だったり逆に繊細すぎたり)、感動とか共感が沸き上がってこないのが、どうにも心苦しい感じです。


ともかくも鎌谷さんは、リベラのファンだとか(ウィキペディア情報)。作品の中で扱っている曲群が、ボーイソプラノで有名なものが多いので、きっと本当にボーイソプラノが好きなのでしょうね。どちらかというとアニメ化向きな漫画に思えます。
◇参考サイト: 【鎌谷悠希】失われていくもの・・・少年ノートの魅力【話題の本】 - NAVER まとめ


少年ノート(1) (モーニング KC)

少年ノート(1) (モーニング KC)

改めて本を見てみるとその画力の強さと美しさ(昨今の少年漫画に共通かもしれませんが)には驚きました。特に人物の煌びやかな表情。主人公とライバルとなる存在、ウラジミール君が気になりますねえ。


【 ソプラノ/鳩山郁子(短編)】

尖った顎と細身の肉体が特徴の非常に印象的な作風の鳩山さん。'88年11月号「JUNE」(廃刊)で発表された、彼女の短編漫画です。その淡泊な画風と同様、変声期を迎えた少年の漠たる世界観を淡々と非ドラマティックに描いた短い作品でしたが、最後の一コマの「おかえり、僕のソプラノ」の一言に衝撃を受けて、今なお忘れられない作品になっています。


残念ながらこの作品は、彼女の単行本には収録されていないようですが、セーラー服姿の少年の透明感ある描写が眩しくて(笑)、代表作を購入しています。
◇参考サイト:『マンガ漂流者(ドリフター)』第15回:真実から眼を背けることで想像力を掻き立てるマンガ家・鳩山郁子 vol.7|今回で鳩山郁子シリーズ最終回。鳩山が描く「少年」とは一体、何者なのか?鳩山作品の核心をつく! - 骰子の眼 - webDICE


青い菊

青い菊


MAMA/売野機子

思い切り合唱団の話なのに、見落としておりました(汗)!「MAMA」という最近の少女漫画です。美声の少年達が”クワイア”に入団し、寄宿舎生活を送るお話。人生最高の歌声を響かせた瞬間、「神様に選ばれた少年」が”天使”となって死ぬ運命を与えられる、というの決まり事を軸に揺れ動く少年達の心を描くのがテーマのようです。


全体的にイラストがとても小綺麗で、少年達の制服はパリ木の十字架合唱団にソックリ。寄宿舎も、ヨーロッパのある地方の洋館を舞台にしているだけあって、イマドキ珍しい古風な雰囲気が漂います。ただ、物語はかなり”ワケあり”の少年達のエピソードが続き、仄かにBLの風も吹く、という(笑)。


「花の24年組の再来」なんて帯に言葉が躍って、どーれ、と読み始めたのですが、ごめんなさい、やや気負いすぎ、かつ狙いすぎな感じがしていて「花の24年組」のような、”ゴージャズ&耽美&ヘヴィな根暗さ”、とは一線を画しておりました。まあ、それはそれで40年も違うのですから、情緒が違っていても仕方がありません。


ただある意味、とても少女が読むにふさわしいコミックという感じでした。読みにくくて二度読みしてしまったのは、私がオトナになってしまったからなのでしょうね。


MAMA 1 (BUNCH COMICS)

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

女の子が表紙か・・・と落胆してしまったアナタ(というか私)!この子はガブリエル君という登場人物の一人です。長髪サラサラの少年です。


※うーん、なんかもっとあったような気がするので、思い出したら加筆修正致します。第二弾としてギムナジウム編とか青春の音楽編もそのうちアップしたいです。

*1:なんとすでに8巻で完結していた事実を知りました。