BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

2016モナコ少年合唱団公演 in 紀尾井ホール 

モナコ少年合唱団

今年は、例年に比べて沢山の少年合唱団が来日します。その中でも、'94年の来日公演に大感動して最も会いたかった少年合唱団の一つがこのモナコ少年合唱団でした。実は、2011年夏、あの東日本震災の年に、来日が予定されていてチケットの発売を心待ちにしたのですが、当然中止となってしまい、とても残念に思っていたのです。


それもあって、今年の公演は待ちに待ったものでした。22年前、モナコ少年合唱団の関東公演を3回ほどハシゴして、彼らの素朴で温かなハーモニーにいたく感動しました。決して技巧派*1、という合唱団ではないのですが、宗教曲の選曲も非常に魅力的で、ひたむきに歌に向かう姿勢というものに胸打たれて、自分でもびっくりするくらいハマってしまったのです。


今回、四ツ谷駅近くの紀尾井ホールのコンサートに足を運んだのですが、昔の記憶とはまた違った思いを抱きました。24名という人数で、のっけからすごい声量。特に年長の団員の歌声はビンビン。こんなに迫力あったっけ?と驚くほどでした。そして、変わらなかったのは全編を通して、少年達のすごい集中力。


前回も指揮をとっていたピエール・ドゥバ氏のメリハリつけた的確な指導力の賜物でしょう。時に、団員の制服を直したり、肩をたたいたり、声をかけたり、と自然なスキンシップをとって緊張を和らげていました。少年達も誰一人だれることなく、当たり前に真摯な世界観を作り上げていました。

ソリスト達の活躍】


今回特に印象的だったのは、ソリストの多用です。最近の少年合唱団は、絶対的エースがいない代わりに、それなりに安定した実力のソリストを数名、配することが多い気がしますね。モナコも大きい団員から小さい団員まで、1/3程度の団員がソロで美声を響かせてくれました。


3曲目の「ハイドン/マニフィカート」や「テリー/小ミサ曲」も良かったですし、ラスト2曲の「メンデルスゾーン/おお主よ、汝はわれを見出したまえり」「フォーレ/アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、壇上に残った7名ほどのソリストが歌い上げてくれて、思わずほお〜と感心してしまいました。とても落ち着いて歌っている少年達の様子にも引き込まれましたし、とても綺麗な歌声にため息。


第2部になっても、ハーモニーの勢いは変わらず、とても気持ちの良い歌声が続きました。後半最後のほうは、”ダバダバダ・・・♪”でアンニュイなムードいっぱいの「男と女」や「愛の賛歌」などの有名なシャンソンが出てきました。仏語圏だし、なるほどの選曲だなあという感じでしたが、艶っぽい歌を少年達の素朴な声で聴くのはちょっと不思議で新鮮でした。


締めは、「オーシャンゼリゼ」。少し硬かった会場が、手拍子で一挙に和らぎました。少年達もやっと穏やかな少年らしい表情に戻って、楽しんでくれたようです。猛暑の恐れのあった東京ですが、この週末は幸い涼しい日々で、少年達もいつも通りの実力が出せたのではないかな。


公演中、合唱団の制服と同じ紺碧の空と海地中海の風を感じた、素敵なコンサートでした。またいつか、是非会いたい合唱団です。

モナコ少年合唱団公式サイト:Les Petits Chanteurs de Monaco et la Maîtrise de la Cathédrale | Bienvenue

spice.eplus.jp

*1:しかしCDの音源では、びっくりするほど上手なソリストがいたりします。