BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

ウィーン少年合唱団 2016柏公演

ウィーン少年合唱団

GWを利用して東京遠征に出かけておりましたが、運よくウィーン少年合唱団の公演もブッキングできました。今年は、東北でも2公演開催されるというなかなか贅沢なツアーでしたが、地方公演は告知が遅いことや日にちの並びの関係もあり、柏市民文化会館でのコンサートに決めました。


快晴で都内の気温は25℃ほどの汗ばむ暑さでした。少し離れた千葉の柏市。初めての会場で何度もスマホの時刻表を見ながら、ローカルバスにも乗り、ちょっとした遠足のような感じで行きました。実際は、なんかバタバタ・・・でちょっと余裕ない状況ではありましたが。


会場に着くと、定番のパンフレットを買います。相変わらず、この装丁で1000円という安さにまず驚きます。それだけ売れる証拠ですね。2000年代パンフが小さくなってからは、ほとんど見返すこともありませんし、1年前のソリストも覚えていないようなズボラなファンですが・・・。


物販については、地方ということもあるのでしょうが、テディベアのイラストの公式グッズばかり販売されており、CD・DVDが1種類(シルクロード)だけ、というのは寂しい限り。普段あまり合唱のコンサートへ来ないようなお客さんは、「CD買いたいな」と思うのが普通だと思うのですが。諸事情あるのでしょうか。

【 今年のシューベルトコアは、超自然体の印象】


それはともかく、コンサートのほうはどうだったか、といいますと、アットホームで楽しいコンサートでした。まだ2公演目だよね?Bプロは初お披露目だよね?なのにアナタ達、どうしてそんなにリラックスしてるの!というくらい、ほとんどの団員達は良い感じで肩の力が抜けておりました。


指揮者のオリヴァー・シュティヒ氏は、2012年に続き2回目の来日ということで、日本語での挨拶もなかなかに流暢で聞き取りやすかったです。伴奏のピアノが、元気いっぱいでかなりの頻度でミスタッチもあったりするのですが(汗)、全く動じず気持ち良さそうに歌う少年達が頼もしかったです。


今回のソリスト陣は、また一段と固定化してない感じで、小さい団員を中心にどんどんチェンジしていきました。最初の二重唱(ヘンデルメサイア」より)でソロをとったイヴァン*1や、その後、何回かソロをとったヤーコップ*2あたりは、正統派なウィーン少年合唱団ソリストの趣があって良かったです。


そして、「ピエ・イエズ」でピーンと伸びるソプラノを披露していたのがパウル君。朗々と歌い上げていて、何にも考えてなさそうな(失礼)まっすぐな歌い方で、そこが魅力的でした。それから、体は小さいですが、芸達者な”アメリカン・キッズ”風のハリー・N君、ちょっとスカした感じのイマヌエル君も目立ってました。


日本人団員は、今回2人でしたが、なんとなく顔が似てるので、もしかしたら兄弟かな?小さいサトシ君はソロを1曲歌いました。身長が高い方のミノル君は、残念ながらソロはハミング程度でしたが、気になる存在でした。ミノル君の立ち位置あたりから、ビンビンとソプラノボイスが響いていたので、誰の声なんだろう?って。


少年達が、ズボンから紙の紙片を取り出してたどたどしい日本語で曲解説するのも、慣れると悪くないですね。普段、あまり聞きなじみのない曲が続くと、飽きる観客も出てくると思いますが、いい意味で緩衝材になってる感じです。リベラの少年達ほどくだけてないのが新鮮で良いですし・・・(笑)。


プログラム展開もだいぶ慣れました。今回は、例年よりも進行がスムーズに感じられましたね。歌うし、踊るし、演奏するけど、流れが途切れずに、あくまで歌主体でまとめられていた感じで、コンサートがあっという間に感じられました。

【泣かせられたり、笑顔になったり】


それにしてもまたもや中盤での「花は咲く」。一体、いつになったらこの歌を聴いて泣かずに済むのだろう。普段、聴く分にはすんなり1つの曲として聞き流せるのに、ウィーン少年合唱団に目の前で花を持って歌われると、もう泣けて仕方がありません。多分、日本語の分からない少年達が、悲しい背景や過剰な表現を排除して、素朴に歌うからこそのパワーなんでしょうね。


被災地出身といっても、私の場合は比較的被害は少なかった内陸のほうの人間ですし、身近な人も亡くすことはなかったのですが、かけがえない家族を亡くしたり、故郷を追われたり、と苦しい思いをした人々を思い浮かべてしまうのです。そして、つい先日も熊本地震が起こって、同じように被災している人々がいて。願わくば、この曲を聴いて泣かずに済む世の中になってほしいものです。


意外に良かったのは、「天空の城ラピュタ」とか、ウィンナ・ワルツ。少年達もノリノリで楽しんでいたのが分かりましたが、プログラム後半は、弾むような楽しさに溢れていました。このコアなら、Aプロも見てみたかったなあ、と思わせるハッピーなコンサートでしたので、これから見られる方はお楽しみに。

*1:アンコールでの「タイタニック」主題歌のサビがとても良かったです。

*2:パンフの写真だとちょっと誰か判断しづらいですね。