BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

映画「くちびるに歌を」 ボーイソプラノの下田翔太君に注目!

ようやくですが、新垣結衣さん主演の『くちびるに歌を』を鑑賞しました。アンジェラ・アキさんのヒット曲「手紙」を題材にした映画で、長崎のとある田舎の中学校の合唱部が舞台。産休の女性教員の臨時として、ワケありの美人教師(プロのピアニストでもあった)がやってくるところから話は始まる。


というのは、大体予告の段階で分かっていた全てでしたが、たまたまネットでこの映画に変声期前のボーイソプラノの少年が出てくる、という噂を聞き、これは是非見ないとね、と思っていたところでした。全体的に映画の色合いが、『世界の中心で愛を叫ぶ』を思わせるような懐かしい感じなので、一瞬、15年前が舞台か?と勘違いしたのですが、現代の話でした。


すごくのどかで素朴な少年少女達も出てきて、なんだか自分の若い頃の学生達(笑)を思い出す感じです。過去のある事件がきっかけで心を閉ざしピアノに向かえなくなった主人公の柏木先生(新垣)と家庭環境に問題を抱え、傷ついた心を隠して、学生生活を普通に振舞おうとしている生徒達の絡み合い。


合唱部が合唱コンクールに参加するところがこの映画の最大の見せ場でありヤマ場なのですが、実は”合唱部”とか音楽というのは、あくまでストーリーの”添え物”な感じで、むしろ登場人物を取り囲む人々の物語と言ったほうがいいかもしれません。いろいろとてんこ盛りすぎて焦点がボヤけてしまったと言えなくもない。


アンジェラ・アキさんの「手紙」を、”頑張って”モチーフにしているのは分かるんだけど、なんとなく中途半端に終わってしまうのが残念。見終わって、それなりに良かったのですが、映画自体には、そこまで特別な愛は感じなかったんですね。笑顔を見せないガッキーは、なかなかいい味出してましたけど。

【サトル少年のピュアな存在感がいい】


ストーリーの何倍も目を引いたのは、桑原サトル役の下田翔大君。2002年生まれで、今現在13歳。5歳から子役として活躍していたようですが、私は全然見たことがない少年でした。どこかの少年合唱団に属している団員かと思ったのですが、歌の経験はあまりないのかな?ソロで歌うシーンが少なくて残念でした。


この翔大君、自閉症の兄の面倒を見る優しい弟、気弱で引っ込み思案の性格で、合唱部を続けたい意思をなかなか家族に言えない、というもどかしくなるような少年役があまりにも似合っていて素敵でした。時折、見せるハニカんだ笑顔や、歌う時の目の輝きが、高めの声と相まって、なんともいえない魅力をかもし出していました。


サトルは、出演する少年少女達の中でもかなり目立つ人物なので、彼が出ているシーンは、すごく楽しく見られました。天性の、ゆえに自然体(訓練されきっていないタイプ)のボーイソプラノという独特の味わいですね。


映画公開の時の写真を見ると、撮影当時より成長している姿が見えるので、男の子から青年に変わる一瞬を切り取っていた、と思うと尚、感慨深いです。子役あがりでも成功する役者も多くなってきてますので、今後、カッコいい青年俳優として出てくることを期待したいです。とはいえ個人的には、まだまだ可愛いサトル時代をもっと見たいけれど・・・。

■下田翔大 公式サイト:下田 翔大 - アミューズ オフィシャル ウェブサイト


DVDやブルーレイも発売しています。