藤原竜也&有村架純を主人公に置いて、人気原作コミックを題材に、昨日から公開された映画「僕だけがいない街」。久しぶりに前売券を購入した映画となったのは、ストーリーと現在屈指の名子役の共演に期待したからです。
時間を巻き戻す「リバイバル」という特殊能力を持つ藤沼悟(藤原)が、ある事件をきっかけに、小学生時代に身近で遭遇した”幼女誘拐連続殺人事件”の過去へとワープし、その時代に救えなかった同級生の少女、雛月加代をもう一度救いたい、と必死に切望するところが、この映画の最大の見せ場だと思います。
予告を見て、一番興味を引いたのは、子役の悟を演じた中川翼君と加代役の鈴木梨央ちゃんのカップリング(?)です。何せこの2人、先日最終回を迎えたばかりのTBS系TVドラマ『わたしを離さないで』でも、主人公の子役時代を演じて、純愛ともまだ呼べないような可愛い姿を見せてくれたばかり。
映画の後でパンフレットを読んでみたら、翼君は映画がデビュー作でほとんど素人に近いほど、子役経験が少ない少年だったようですね。TVドラマのほうが後だったようですが、どうりで妙に計算高い演技じゃなくてどこかしら素朴さが胸を打つわけだ、と。対する梨央ちゃんは、”ベテラン(子役)女優”の筆頭。NHK大河ドラマ『八重の桜』で綾瀬はるかの少女時代を演じて話題になってから、CMにも引っ張りだこの人気。
年齢的には、大ブレークを呼んだ芦田愛菜ちゃんと同世代で、愛菜ちゃんに憧れて子役世界に飛び込んだようですが*1、いまや大人びて優等生っぽく成長した愛菜ちゃんとは対照的に、眩しい笑顔と少女らしい清潔感を失わない梨央ちゃんの方が、少女子役のトップバッターに躍り出たイメージ。
私も近年の少女子役の中で、一番好感度高いのがこの梨央ちゃんです。女の子は、自分の置かれている状況に比較的賢く振舞うために、やたら早熟そうな子が多い中で、さすがに演技の上手さはどんどん上げていますが、一服の清涼剤のような梨央ちゃんの存在は嬉しい限り。そして、その梨央ちゃんと並んで、やや線が細いものの、負けない素朴さ&必死さが印象的な翼君。
ドラマの時も、最初は「よくあるタイプのキュートな少年子役かな〜。」とさして期待していなかったのですが、見ているうちにどんどん翼君に引き込まれていきました。この子は、とても目が綺麗で、男の子特有の生臭さをあまり感じさせない、瑞々しい透明感が印象的です。
そして翼君と梨央ちゃんが並ぶと、ものすごく絵になる。2人の魅力が相まって、日本一哀しくて美しい一対の少年少女が生まれるのです。ということを、『僕街』の映画の中で一層、再確認しました。藤原君もインタビューで「子供たちが主役の映画になると思っていた」と語っていますが、私の感想も一緒です。
【殺される運命の少女を救え!】
原作のコミックやアニメとも、物語の主要部分は同じでも、人物描写やシーンの展開などかなり違っている作品になっているようです。*2映画では、やはり現代の悟&愛梨(有村)との”恋と友情の中間”のような関係にもかなり比重を置いています。興行的なものもあるから仕方ないのでしょうが、この映画、やっぱり子供時代の切ない場面が秀逸なのです。
一方で連続殺人犯が誰なのか、なんとなく中盤で気づいてしまいましたし、少年時代の悟が危機一髪のところでどうやって助かるのか、母親(石田ゆり子)が、真犯人を知ってるというくだりもちょっと説明不足なんですよね。やっぱりある程度長いストーリーを削っているから、無理が生じるのか。少々、雑なところが目につきました。
そのクセ、時々「日本映画」にありがちな無駄に冗長な場面が出てくる。ラストも感動させようと狙って説教くさく綺麗にまとめてしまったのが・・・残念。クオリティを下げて、ありきたりの映画にまとまってしまった気がします。
少年時代、母と2人暮らしで、裕福ではないけれども満たされている、ちょっと気弱な悟が、不遇な境遇の上、殺される運命の加代を「今度こそ、ちゃんと救うんだ!」と決意する場面には、本当に泣かされました。ミトンの赤い手袋と青い手袋、時期はずれのクリスマスを思わせる満点の星空と大きな木の下の幼い2人の図、誕生会にお呼ばれして戸惑いながらも嬉しそうな加代。
なんか日本版「小さな恋のメロディ」みたいな感じ。でも、置かれている環境がハードなだけに、淡い初恋とかそういうのともまた少し違って、運命共同体とでもいうような感じなんです。暴力的な世界に抗い、小さくても必死に、その瞬間を精一杯に生きようとする仲間。だから、男の子とか女の子という違いを殊更強調しないで、見えない敵に向かう”同志”の2人に胸を打たれたのかな。
中川翼君、本当に素敵な子役が出てきましたね。藤原君に似ている子、というのもオーディションでの大きな選考基準だったそうですし、確かにちょっと顔立ちも似ています。また、藤原君へのリスペクトも大きいそうなので、これから本格派に成長するかもしれませんね。
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こちらは、アニメ版。映画ともストーリーがちょっと違うらしいです。
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