BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

ウィーン少年合唱団 2015仙台公演

5月14日、仙台市中心部の電力ホールウィーン少年合唱団の来日公演がありました。宮城県でのコンサートはなんと8年ぶり、私自身は昨年の山形公演に続き2年連続鑑賞という珍しい幸運*1にありつけました。


ところがどっこい、なかなか物事はうまくいきません。数日前に発症したタチの悪い風邪のおかげで、劣悪な体調で聴く羽目になりました。今までも点滴打ってから公演行ったり相当無茶なことは体験してますが、今回は大量に飲んでる処方薬もなかなか効かず、体力消耗しきってフラフラ状態。


コンサートに行くのを止めるか、何度も悩みましたし、行けたとしても途中退場もありかな、と思って覚悟を決めました。結果、なんとか終演まで持ったものの、その後の病状はやや悪化(何してるんだ〜 by自分)。あまり深い感想は書けませんが、いつもより雑念の少ない(笑)視点でコンサートを純粋に楽しめた、という思いで満足も高かったです。

ウィーン少年合唱団 来日60周年記念公演 WOWOWにて放送決定!!
   2015年6月27日(土) 18:00〜19:30 東京公演録画(予定)
    WOWOW ONLINE

【今年、60周年の来日公演だそうです。】


そういえば、確かJAPANアーツで、「あなたの想い出をお聞かせください。」というアンケートやってましたね。私の見たプログラムAは、60周年記念というだけあり、第一部の宗教曲に思い出深い名曲がズラリと並び、過去の公演の思い出やソリスト達が走馬灯のように浮かんでは消え・・・少年達が歌うたびに懐かしさに何度も震えが走りました。。


ソプラノソリストフィリップ君のソロで始まる「モーツァルト/ラウダーテ・ドミヌム」で、まずこみ上げてくるものがあり、あやうく呼吸困難になるところでした。ウィーン少年合唱団のコンサートで一番聴きたい曲と言ってもいいくらい、大好きな曲。そして合唱団のソプラノ独唱、十八番。


フィリップ君の声は、過剰な装飾のない素朴で温かみのあるソプラノでした。私の好きなタイプの声です。それから、ソリストにありがちな”力み”がなく、音もブレず、安定していました。ものすごく個性の強い、いかにもソリスト、って感じではなくて、すっとその場になると、自分の持ち味を自然に発揮するようなマイペースタイプなのかも。


このフィリップ君、合唱に溶け込んでいるときは、無茶な声の張り上げ方をせずに、淡々と歌っていましたね。他にも「ヘルベック/プエリ・コンシニテ」を歌ってくれましたが、こちらも落ち着いた歌唱で、なかなか素敵でした。デュエットは、日本人団員のリュウセイ君とラファエル君?だったかな、「ピア・イエズ」を披露してくれました。


合唱曲で一番感動したのは、「フォーレラシーヌ讃歌」です。私自身、いつの頃からか、かなり好きな曲になっていて、ナマで聴けるだけで感涙しまくり。また呼吸困難にならないように(笑)、なんとか思いを抑えて聞き入っておりました。


今回来日のブルックナーコーアは、私的には”スター不在”の組。ただ、素朴な味わいの感じられる歌声と純粋なハーモニーは、心地よかったです。ソプラノメンバーに声質の近い美しいソプラノを持った少年が5、6人くらいいて、まとまって一つの声のように響いてきたのが嬉しかったですね。

【今年も指揮者の先生は、ポップでした!】


見た目がイタリア系の若者、という感じのマノロ・カニン先生。手書きのカンペを見ながら、たどただしい日本語で曲名や少年達を紹介してくれて、引率の指揮者というより、「僕のコンサートにようこそ!」と言ってるみたい。自らが誰よりもコンサートを楽しんでいるような、まさに底抜けの太陽のような温かみの感じられる方でした。


第二部は、オーソドックスに良く知られてる曲が多く選ばれていました。「これぞ、ウィーン少年合唱団!」のワルツやポルカ、民謡、日本の歌、ミュージカルナンバーなど。楽器披露やドイツ民族服でのダンスもいつもの通り。ヴァイオリンのラファエル君、リコーダー&指笛のリュウセイ君など、目立ってました。


まず印象に残ったのは、今年も披露された「花は咲く」。白い大きな花瓶を舞台正面中央に置き、団員一人一人が歌いながら、ピンクの花(カーネーション?)を入れていく、というあざとい演出*2。毎回、「そこだけNHK放送局かい!?」って心の奥でツッコむのですが、被災地東北でこの曲を聴くのって、なんかたまらない気持になるんです。


今でも、仙台では毎日のようにNHKから「花は咲く」が流れていて、”あの日を忘れないキャンペーン”が地道に続いています。その反面、震災の風化は続いていて、それは必ずしも悪いことだけとも言えず、複雑な思いになります。「一体、ウィーン少年合唱団はいつまでこの曲を歌ってくれるのかな?」と思いながら、また条件反射的に涙してしまいました。


「虹の彼方に」や「エーデルワイス」も、定番といえば定番かもしれませんが、とても良かったです。やっぱりこの手の曲を歌ってる時の少年たちの目の輝きは、違いますね。表情の乏しかった子が、ぱっと笑顔になって生き生きと歌ってくれます。恒例の長めのアンコール(今回は4曲)に、飽きがこないように、構成を考えながら動きのある曲も披露したり、と、少しずつアレンジを利かせているなあ、と感心します。


来日から60周年を迎えて、日本での人気はだいぶ落ち着いてしまった気がしなくもないですけど、出来る限り来日し続けて欲しいことは変わらないです。


boysvoice-2.hatenablog.com

*1:全国ツアーでもなかなか東北地方での演奏は少ないため。

*2:このくだり、去年も全く同じ表現してました(笑)。