BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

今でも「しーちゃん」の面影がよぎります 坂上忍

最近、バラエティ番組で良く見かけているので、そろそろ我らが坂上忍君のことも書こうかな、と思っていたら、今夜の『金スマ』で特集されていたので、まさにこのタイミングだ!という感じでブログを書き進めております。私にとって、坂上忍という子役(俳優)はあまりに自然な存在すぎて、このブレイクがなかったらもしかしたら書く機会はなかったかもしれません。


彼が子役として全盛期の頃、「昭和42年生まれの天才子役」の特集が雑誌や新聞なんかでも取り上げられることがたびたびありました。まず真っ先に浮かぶのが、”天才”の名を欲しいまましていた斎藤こず恵ちゃん。「山口さんちのツトム君」も大ヒットした名子役で、もともと、小さい頃からぽっちゃりしていた彼女は、10歳を過ぎた頃から太りすぎててなかなか役がつかなくなっていたように思います。


その分、忍君よりも瞬発的な人気は高かったと記憶しています。こず恵ちゃんは、アメリカに留学して就職や結婚もした、と聞きました。それから、TBSの「ケンちゃんシリーズ」で二代目ケンちゃんを演じた岡浩也君。平面的な顔に甘いルックスを持った清潔感のあるタイプでした。ただ、ケンちゃんシリーズ終了後はそのままフェードアウトしてしまったようです。今は、お医者さんになったとか。


そして、「子連れ狼」の初代大五郎を演じた西川和孝君。クリクリとした瞳の大きいやんちゃな子で、大場久美子さんの「コメットさん」にも出演していたのですが、彼も声変わりを前に見なくなりました。その後、議員に立候補したりしていたようですが、殺人事件に関与し転落。子役としてスポットを浴びていた彼らは、その後の人生の変転も大きかったようですね。

【波乱万丈の人生】


金スマ」では、同時期に活躍していた大竹しのぶさんもゲスト出演していたので、昔の思い出話が聞けるかと思ったのですが、「あれ?2人は共演していなかったっけ?」と考えてしまうほど、そういう話は出ませんでした。それだけ忍君の波乱万丈の人生に焦点を絞り、後半は子役事務所の社長としての指導も丁寧に取材していました。


まずは、4歳でデビューした子役(劇団若草入団は3歳)としての輝かしいキャリアと同時に可愛いおかっぱ頭の頃の映像がいくつか流れます。国民的人気ドラマ「ありがとう」は、私も幼すぎてほとんど覚えてないのですが、忍君が小学生になったあたりからは、もう瞬時に思い出せる馴染みの顔がありました。番組の中では加山雄三さんとの共演の写真が出た「かたぐるま」。


確か桜田淳子さんも出ていたこのドラマ、毎週欠かさず見ていて、カセットに録音とかしていましたね。その割にはストーリーほとんど覚えてませんが、ちょっと複雑な家庭ドラマだった気がします。忍君も小学5、6年生の頃になると、子役にありがちな可愛いだけ、というわけではなく、”小さなベテラン役者”の趣で、とりわけ何かに苛立ってるような反抗的な演技が絶品で、「もしかしたら気難しい子なのかなあ・・・」なんて感じていたような気がします。


番組の再現ドラマでは、忍君が子役として成功を収めた後で、父親がギャンブル、浮気、家庭内暴力などの問題を起こし、借金1億円を作ってしまう、という転落ぶりが描かれていました。まるで、初代ケンちゃん=宮脇健(本名:康之)さんを思わせるほど、家庭崩壊のイメージがそっくり。ひょっとしてこういう絵に描いたような不幸の連鎖は、古今東西、成功しすぎた子役に多くある出来事なのかもしれませんね。


その後、忍君が15歳のときに両親は離婚し、借金返済を忍君自身が芸能界での仕事を受けることで25歳に完済。注目されることが嫌で、ずっと辞めたいと思っていた坂上少年は、嫌な思いを我慢してお金のために働き続けた、ということです。番組の中では特に触れられていませんでしたが、学校でも壮絶なイジメ体験があったということを当時の雑誌の記事で覚えています。


中学・高校時代が校内暴力全盛期だったのもあり、ツッパリに目を付けられていた忍君。ある日、学校に行くと「坂上忍死ね!」と書かれた自分の机が窓の外から落とされていた、とか。それでも、彼からにじみ出るアウトローな雰囲気こそが、ただの人気子役で終わらせず、青年時代〜大人の俳優へと脱皮していけた最大の強みだった気がします。


20代前半までは、ドラマや映画でもチラホラ活躍しているなあ、と感じていたのですが、そこから一気に目にしなくなりました。地道に俳優業をやっているかと思いきや、ギャンブルやら離婚やら不祥事やらとダークヒーローな人生をやっていて、今の常軌を逸した潔癖症や今の毒舌キャラに繋がっていくという。

【笑うと優しい忍君の目】


最近、子役養成所で厳しくも的確に指示を与える敏腕社長ぶりも良く目にするようになりました。ビシビシ怒鳴られまくる子役達の痛々しさとの対比、が目につきますが、番組ではそんな厳しい指導をする忍君の真意も丁寧にインタビューしていて、ナルホドと納得させられました。どこにでもいる平凡な子役では生き残れない現実を本人自身、身に染みて知ってるからこそ、「子供に考えさせて芝居をさせる」と。


確かに、芸能界というところは子役の残酷物語なんてありふれて珍しい話ではないです。今、人気の子役達も大きくなってからも今と同じ扱いは望めないでしょうし、その頃にはまた新鮮な子役が出現していると思います。私達のような一般人が、娯楽の中でお手軽に子役を「消耗品」として切り捨てる部分も大きいのだと思います。


ただ、子役上がりでも地道に活動している俳優は意外と多く、情熱を持って努力している人達もまた多い世界。逆に素晴らしい出会いなんかを体験し、大人の役者へと脱皮していく人達もわずかながらいるのだと思います。


「ブスは嫌いだ!」とか歯に衣きせず、全女性を敵に廻しそうな坂上忍氏ですが、それでも時折、懐こい笑顔を見せる瞬間を見ると、「憎み切れないロクデナシ♪」と歌ってしまいそうになります(笑)。ホントあの笑顔は反則ですよねえ、幼い頃のピカピカの”しーちゃん”の笑顔そのままなんですもの。


いっそのこと、これからも鬼畜道を極めて下さい、とすら思います。あんまり幸せの似合わない人に見えますし、こんなリベンジ人生も悪くないかも、と思って毒舌に爆笑させてもらいます。


なんと忍ブームにノッて、リバイバル発売されたんですね。


白虎隊 [DVD]

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忘れちゃいけない、名作中の名作時代劇です。忍君が19歳で白虎隊隊士を瑞々しく演じておりました。同じ年代の青年達と一緒ながら、圧倒的な存在感やオーラの違いを感じました。この頃の君はどこに行った?(笑)