BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

「消臭力」CMで一躍お茶の間アイドルとなった、ミゲル・ガーレイロ

ミゲル・ガーレイロ

3.11東日本大震災のとき、暗く沈んだ日々が続き、膨大なACのCMに辟易していた毎日。あの日、唯一、気持ちを和ませてくれたのがエステー消臭力」のCMで見事な歌声を披露していたミゲル・ガーレイロ(Miguel Guerreiro)君です。


リスボンの街並を背にして、「ラーラーララーラ♪」と笑顔で歌い始めると、サビでは想像もつかない「消〜臭〜力〜〜♪」と力強く響かせる。その意外性に、衝撃を受けた人は数多いのではないでしょうか。私ももちろん、その一人でした。(いつの間にやら自宅にも消臭力が置かれ、そのブランド宣伝力にも驚嘆の眼差しです。)


夏には、キャンペーンも兼ねて日本へ来日、いくつかのテレビにも出演、秋に日本製オリジナルCD発売、そして年末年始は日本でミニライブやアーティスト活動にも励み、あれよあれよという間にすっかりお茶の間のアイドルに急成長しつつあります。少年歌手というマイナーな世界(?)で、おまけに日本人以外でここまで目を見張る活躍をしたのは、もしかしたらルネ・シマールエマニエル坊や以来かも・・・。


洋楽系の少年歌手やグループが宣伝のために来日ということはあっても、日本人並みに人気と話題を集めた欧米少年は数えるほど。びっくりしながらも、ミゲル君の屈託のない笑顔を見ているうちに和んできてついついブログにアップするのが、遅れてしまいました。検索すればどっさりとミゲル君について特集している記事もあるので、難なく情報も得られます。


どうしてあの震災直後に”激励”の意味を込めたあのCMが作られたのか・・・。ミゲル君の背後に映る美しい街並、リスボンこそが1755年に大震災と津波で壊滅的な被害を受けた都市であること。”復活と再生”を願ってのCMだったと知ったときは、さりげなくも深い意図に感動を覚えました。

【日本に現れた天才少年歌手!?】


11月に13歳になったばかりのポルトガル出身・ミゲル君は、3年前に地元のオーデション番組で優勝したことがきっかけで、1枚のオムニバスアルバムと2枚のソロアルバムをリリースしたプロの歌手。なにはともあれ、最初はソロアルバムを聴かなきゃね、という感じで日本盤CDが発売される前に、輸入盤でその歌声を確認してみました。


日本語と似て母音ががっつり耳に飛び込んでくるポルトガル語は、やっぱり耳にとても馴染みます。あらゆる国の少年歌手を聴いてるため歌詞は分からなくても全然気になりませんが、それだけに並外れた個性や歌唱力は、一瞬にして心を奪われます。かといって上手すぎても嫌味に聴こえることもあるので、相性というのは結構大きいですね。


そういう意味では、ミゲル君の初めての歌声は「あれれ、こんなんだっけ?」という感じでした。上手いには上手いけど、”飛び抜けた歌唱力”というのとはちょっと違ったような。少しだけ硬さや音の不安定さも見られて、まだまだ完成途上の趣き。むしろ歌声よりも'80年代を彷彿とさせる素朴な泣きのメロディに懐かし感が満載。


もうちょっと”しっとり感動”を期待していただけに「うーん、元気なのか切なげなのかどっちつかずだなあ。」という印象。更に同時期に購入したRONAN PARKE君のCDがあまりにも素晴らしかった(→後ほど語ります)ので、しばし本棚の奥で少し眠っておりました(ゴメンね)。TV出演や映像で見ると、声量は少年離れしていてかなりのものだから、CDで魅力の全てが分かる歌手ではないのかもしれません。



ミゲル君の歌い方の特徴は、聴かせどころでオペラ歌手のように強力なパンチ力で声を張り上げるところ。その分、聴いていて一種の緊張感があるんです。綺麗に決まればカタルシスを感じますが、伸ばしきれずに中途半端に消えていく音もあって、なんとなくハラハラさせます(笑)。一方で、未完成の魅力というか、彼自身の「何か伝えたい、訴えたい」みたいなものが、曲の中に散りばめられていて、いい加減には聞き流せない。

【彼の魅力は、歌唱力よりも表現力】


日本盤が発売されて、日本語で聴いたら、「ああ、そうなんだ!」と遅ればせながら気がついたことがありました。彼の歌唱力や低音ハスキーボイス、なつこく愛らしい素顔など分かりやすい特徴以上に、この子の武器は、生来の表現力の高さだということ。外国語であるはずの日本語の歌詞が耳にバンバン入ってきます。むしろ、オリジナルの歌手以上に、彼独自の世界観を感じさせてブラボー!!でした。


消臭力のCMソングはご愛嬌、という感じで私的にはほとんど必要がなかった(おいおい)のですが、日本の歌謡曲を節操無く集めた日本盤オリジナルCDは、なかなか面白い発見でした。とはいえ、まずは選曲に軽くツッコミを入れたくなりましたね、もしかしてスタッフは、同世代の人じゃないか、と疑うようなめちゃくちゃ懐かしい懐メロが揃ってる。


なんといってもあの久保田早紀の「異邦人」が入ってしまうんですよ!でも、この曲は本当に名曲だから、実は大変嬉しかったです。あの似非・中東ムードがたまらない(笑)。ミゲル君のお父さんもお気に入りだというのも分かる感じ。ミゲル君は、ファドに似てるって言ってるようですが、そうなんかぁ〜?


翼をください」も定番愛唱歌ですが、歌詞が素敵なので、少年に歌われるとたまりません。ミゲル君のPVを見ながら、ちょっと涙してしまいましたよ。期待した「マル・マル・モリ・モリ」は、アレンジされたサウンドが邪魔で残念な出来栄え。逆に、アカペラに近い「黒ネコのタンゴ」には大感動、と曲によって差が激しかったです。


カバーアルバム特有の統一感の無さはマイナスだけれども、耳馴染みの曲が多いだけに、ミゲル君が歌うことで全く異なった個性で輝くところが面白かったですし。声質が似た系列の原田潤君の「僕の先生はフィーバー」を歌ってくれたら、なお良かったかな。変声期まではそう時間がないとは思いますが、日本でもっともっと人気者になって、早く次のアルバムが発売されて欲しいし、是非、ライブ映像なんかもDVD発売して欲しいです。


今年、地元の夏祭りにも来ていた、と知り、生ミゲルに会えなかったのがとても残念ですが、お正月は家族で日本で過ごすそうですし、テレビにも随分出演が決まってるようなので、寂しくはないかもしれませんね。とにかく日本で少年歌手ブームが起こるよう、起爆剤にもなって欲しいですね。


www.universal-music.co.jp

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Bonito★ぽるとがる -ポルトガルのカワイイコトー:ミゲルくんプロフィール
ポルトガルをこよなく愛するスノホワ様のサイトです。ミゲル君の特集も書かれていて、いろいろな裏話を知ることができます。


日本でレコーディングした記念すべきファーストアルバムです。なかなかにバラエティに溢れていますが、ミゲル君の写真もいっぱいで単純に嬉しい(ジャケットはイマイチ、ダサいけど)。DVDの「翼をください」がおススメです。


Eu nasci para cantar by Miguel Guerreiro

Eu nasci para cantar by Miguel Guerreiro

ややメランコリックな響きのあるサウンドの中で、ミゲル君の歌声がこれでもか華麗に跳びまわっている印象のアルバム。2010年発売だけに今と近い、本来のミゲル君の歌声でしょうね。


Eu quero aquela estrela

Eu quero aquela estrela

まだまだ完成しきれていないやや幼いボイスで軽めに歌うかと思えば、歳のわりに渋すぎる(これがファドか?)曲を歌い上げたりと、なんだか不思議な試行錯誤のデビューアルバムになってます。