BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

このまま埋もれさせたくない Jamie Shaw

遅れてやってきた一つの出会い

Jamie Shaw

数年前からとても気になっていたアルバムがありました。あちこちでお決まりのように見かけたのは、若草色のシャツを着たまん丸おめめの少年が微笑みかけているドアップの写真。


その少年の名前はジェイミー・ショー(Jamie Shaw)。1985年6月8日生まれでイギリス、歌の名手が多い、あのウェールズ出身。海外の少年歌手サイトでも必ずといって良いほど見かけるCDでしたので興味を引かれ、とても欲しかったのですが、これがなかなか手に入らない。


ようやく数年前にヤフオクで落札したのですが、1999年10月発売のCD「When You Believe」は、もう廃盤に近いのかもしれないですね。ネット時代の有難いことは、10年前のアルバムが海外の中古CD店経由で、遠く日本に流れてくることもある、ということで今やAMAZONでも手に入るんですね。


もちろんとっくに変声しているのですが、ナマで聴けないだけで少年歌手の真の魅力は、”時代”なんて軽く超越すること。極端な話、ご当人が仮に亡くなっていたとしても、おじいさんになっていても聴いた瞬間が初めまして!新しいも古いもないのです。


それはともかく。届いて真っ先に歌詞カードの写真を見て、意外に体格の良い・・・というかプチ太め?なジェイミー君に一抹の不安が。。。気を取り直して?とりあえず歌を聴いての第一印象は、「うん、なかなか思い切りの良い歌声だわ。」と。その時は飛びぬけて個性的とは思いませんでした。


ちょっとだけハスキーな声質で、どの曲も実に”パワフル”に歌い上げてて、元気いっぱい爽やかな男の子の雰囲気。全体的にブレが無く、スッキリと気持ち良い歌声です。但し、決め手となるものがなく、少し寝かしてました(笑)。


最近になって、久しぶりにドライブしながら流し聴きをしていたところ、ふと耳に入ってくる歌がありました。映画「タイタニック」主題歌として世界的に大ヒットし、その後もあちこちでカバーされまくってる”My Heart Will Go On”。映画自体も印象強いだけに、この主題歌はいつ聴いても懐かしく、胸を熱くしてくれる名曲です。

【心に染み入るこの1曲!】


ジェイミーの場合も、力強い熱唱で唸らせてくれてます。そして、いったん心に届いた歌は、何度聴いてもまた染み入ってくるものですが「それにしてもなんでこんなに良いのだろう?」と首をかしげたほど。それもそのはず、調べてみれば彼がアルバムを出すきっかけとなったのがまさにこの”My Heart Will Go On”の歌唱だったという話。


1998年の終わりに出場した「My Kind Of Music」というテレビ番組でこの曲を歌ったジェイミーは、ものの2週間足らずでレコード会社(Decca)と契約したとのこと。


熱くて切なくて泣けそうなこの曲を、人真似のレベルを超えてまるで持ち歌のように、自分の解釈まで落とし込んで歌い上げているところが、惹きつけられる理由かもしれません。こういう曲は、どこまでも劇的に歌い上げることができるだけに一歩間違うと「どうだ、上手いだろう!」と自己満足に陥りがち。ジェイミーの歌い方は、そうではないのです。


導入部は、どうにもならない哀しみを、優しく語りかけるような自然さでトツトツと歌っています。時折入るカスレ声やブレスの震えが少年の持つ透明な色っぽさを醸し出しています。そしてサビでは、堂々とこれでもかと思いのたけをぶつける、気持ち良い熱唱ぶり。もっともっと聴きたい!と思わせながらフェードアウト。いやはやもう何十回聴いても全然飽きることがありません。


テクニックはかなりのものを持っていますが、完璧さを見せつけるタイプの少年歌手ではありません。伸びやかな歌声でたっぷり聴かせてくれる上に、これだけハートフルな熱唱型でありながら、摩訶不思議な清涼感もあったりする、この二面性。歌詞の一音も無駄にせず丁寧に歌いこむ律儀さ、彼の持ち味であり、歌心なのでしょうね。


他に気に入ったのは、あらゆる少年歌手にカバーされる永遠の名曲”BEN”と”From A Distance”です。ジェイミーのこだわりを感じさせるくらいのパンチがあります。アレンジも結構凝ってるんですよね。バックのコーラスが自由度が高く楽しい(ちょっとゴスペルっぽい)ので、ジェイミーの歌唱をより魅力的なものに引き立ててます。


14歳で発売されたCDですから、恐らく発売されてすぐに変声期を迎えてしまったのでしょう。しかし、ジェイミーは、2003年夏に再び「Popstars - The Rivals」というオーデション番組で、視聴者投票で選ばれたボーカリストという栄誉を勝ち取り、現在も大人の歌手に脱皮して歌い続けているそうです。肩書き的にはインディーズのようですが、動画サイトにはいくつか現在の姿がアップされていますね。


子供の頃、歌が上手くても大人になっても成功するとは必ずしも言えませんが(むしろ逆が多いくらい)、どんな形であれ歌い続ける道を選ぶ人は、きっと”歌わずにはいられない理由”があるんしょうね。


When You Believe   Dh

When You Believe Dh

恐るべしAMAZON。10年以上前のアルバムまで流通するとは。中古のようですけど。