BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

’09ウィーン少年合唱団 来日公演(6/6 Bプロ オペラシティ)

シンタロウ君欠場に落胆・・・

今年のウィーン少年合唱団来日公演へ行ってきました。今年は、コンサートへ行かないつもりでいたのですが、日本人ソリストシンタロウ君のボーイソプラノの評判を聞き、重い腰を上げました。なのに、何故に・・・。どこにもシンタロウ君の姿はありませんでした(涙)。いやもう、あまりのショックに呆然自失、最初はコンサートどころではありませんでした。


これってストロベリーショートケーキにイチゴが乗ってないようなもんじゃないですか!(おいおい)それが目当てで、新幹線で来たわけですから。以前から、このブログで「ウィーン少年合唱団に、日本人団員は・・・。」なんて書いていたのでバチがあたったのかもしれませんね。いや今でもその考えは変わりませんが、一応これでもボーイソプラノファンの”端くれ”なんで、それはそれ、なんですけど。


日本公演もなんだかんだ言って超過密公演ですし、昔の4ヶ月にも及ぶ全国ツアーに比べたら、やや少なくなったとはいえ、やはり長期公演に変わりない。季節の変わり目もあるし、日本独特の湿度もある。シンタロウ君の場合は、日本へ里帰りなだけに、プライベートも別な意味で忙しかったのかもしれませんし、ソリストとして、毎日かなり歌いこんでいたようなので、疲れが出たのかもしれませんね。日本公演もあとわずか、復活して美声を聴かせてもらいたいものです。*1


それにしてもツイテない、と己の不幸を嘆きながら、しばし耳を傾けておりました。最初の公演を見に行った方の感想では、「コーラスの方は、あまり・・・」という噂を聞いていましたが、アルトパートが意外に存在感があって音量のバランスは悪くないし、声も良く伸びておりました。やはり毎日の積み重ねなのでしょうか、なかなかに美しくまとまっていました。

【コンサートの感想は】


ここ数年の来日コンサートでは、ソプラノパートが元気良く声を張り上げていた印象があったのですが、今回の団員達はそんな無茶(?)をせず、淡々と「自分の仕事」をこなしてます、というような地道な印象で、かえって好感を持ってしまいました。→天邪鬼な自分(笑)。一際、ゴージャスなピアノとマイペースそうな指揮者のロリアンさんのコントラスト。


飛び抜けたソリストが抜けた場合、代役で歌う少年達の実力が分かるものですが、1度きりのコンサートなので、どの少年が代役だったかはよく分かりません。第一部のソロ、シューベルトの名曲「アヴェ・マリア」を歌ったのは、ヨハネ君。しっとり聴かせてくれました。一番、印象に残ったソプラノは、モーツァルトカンタータ「無限なる宇宙の創造者を崇敬する汝らが」を歌った、ヤコブ君(たぶん)。ピーンと伸びる高音が気持ちよくて、とても良かったです。


第二部は、バラエティありすぎな選曲。日本の曲は、お馴染みの「ふるさと」「荒城の月」と続きました。余談ですが、「荒城の月」の作詞家である土井晩翠は、郷土の有名人であり、祖父がやっていた店先によく来ていたそうで、幼かった母は何度か晩翠氏の姿を見かけた、と言ってました。3曲目の「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」が今年の目玉だったようです。


アンジェラ・アキさんの原曲を聞いた時は、あまり感動はなかったのですが、この曲の主人公である「僕」と同じくらいの年頃の少年達にソプラノ声で「今、負けそうで泣きそうで消えてしまいそうな僕は・・・♪」と歌われると、切なく響いてきて涙腺が緩んでしまいました。外国の少年達が歌う日本のポップスは、思わぬ魅力があっていいもんです。いっそ、そういうオムニバスアルバム「ジャパニーズ・ゴーズポップ」を作ってくれれば良いのに、と思ったりします。


オーストリア民謡をお馴染みの民族服で踊る少年達。なんだか踊りもバラバラで無表情、やる気なさそうというか、いっぱいいっぱいな感じで苦笑。毎回、楽しませようという試みは良いのですが、無理に芸事しなくてもいいんだけどなあ。人には得意不得意もありますし。で、その踊り手5人の一団が去る真際に会場から響く、「ブラボー」の声には???ちょっと”ブラボーの安売り”が激しいのでは?


去年は楽器隊が印象的でしたが、それと比較すると今年はミュージカル隊が目立ってました。セーラー服の両ポケットに手を突っ込んで、哀愁漂うムードで左右に歩きながら歌うミヒャエル君。フィリピン系に見えたのですがどうでしょうか。(フィリピンの歌が上手な子供の歌い方にソックリ。)声をめいっぱい張り上げて、緊張など感じないような堂々とした歌い方が強烈に印象に残りました。


最近は、ポップス、ジャズ、ヒップポップ(?)など、一人一芸のごとく見せるようになっていますが、ウィーン少年合唱団本来の代表曲より上手かったりすると複雑な感じですね。「いろんな国のいろんな個性を持った少年達がいて、なかなかグローバルでしょ。」と見せつけられてる気がしてしまいます。定番のウィンナワルツが、昔は最大の盛り上げどころだったのですが、インパクト的にはアメリカのヒットメドレー等のほうが、あとあと印象に残ってしまう感じです。


やれやれ、初めての日本人ソリスト・シンタロウ君の歌声は、「はなまるマーケット」で披露した、実力は普段の1/10くらい(?)*2の声だけになってしまいました。素晴らしいボーイソプラノという評判は最後まで確認できなかったのが残念です。CDなどで残るといいですね、彼の歌声。個人的には、「シルクロード」のDVDで、プチファンとなってしまった(笑)ヒビキ君のその後も気になりますが。。。

*1:と、綺麗にまとめました?が、会場ではそんな心の余裕はありませんでした。

*2:ややアガッていたのか、声が上ずっていたので。