BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

少年が歌う歌劇「バスティアンとバスティアンヌ」

今尚、恋焦がれる幻の映画

sugiee2008-03-25

YouTubeにアップされた『バスティアンとバスティアンヌ 〜湖畔にて*1の歌唱シーンを見つけて、このネタについて書きたくなりました。タイトルは、モーツァルトが12歳の時に作曲したことでも有名なオペラです。この映画については、永らく幻の映画だったため、多少思い入れが強いのです。


確か'89年頃、渋谷である映画を見に行き、そこで宣伝用ミニチラシを配られていたのがこの映画でした。2週間程後にミニシアター(シネカノン青山だったかな?)にて封切になると聞いて、とても興味をそそられたのですが、当時は地元に暮らしていた上、まだ働いてもいないため、映画1本のために再度上京、ということはできなかったのです。


「すごーく残念だけど、ビデオになるのを待とう・・・」と思っていたのですが、いつまで待ってもその映画はビデオ化されず、リバイバル上映もありませんでした。よほど人気がなかったのか、あるいは特別上映だったのか、東京でも約1,2週間だけの上映だったと風の噂で聞きました。そんな調子なので知り合いの少年合唱ファンの中にもこの映画を見た、という人がほとんどいませんでした。


今であればネットでポン!と探し出せるのかもしれませんが、この映画についての情報はかなり少なく、だいぶ経ってからなんとか入手した中古パンフが1冊あるだけ。聞けば'79年作ということですから、今から30年近くも前の作品です。どういう経緯で日本で10年も経ってから上映されたのかも謎でしたが、出演していた少年達ももう立派なオジサマになっているというわけですね。


第一次世界大戦下のフランスが舞台。田舎屋敷に身を潜めている未亡人、夫が出征している婦人、とその息子3人がオペラ「バスティアン〜」を彼女達のために演じるという筋書きのようです。大人達の間では、過去にあった諍いなどでギクシャクとした関係にあるのですが、子供達は無邪気にオペラを楽しんでいます。


パンフレットを見ても、とても洒落たお子様ルックの少年達(セーラー服もあります)が目に入りますし、風情があってなんとも好奇心をそそります。これらのわずかな映像でもやはり惹きつけられて。少年の歌は、プロ級に上手いわけではありませんが、3人とも少年合唱団出身者で(やや可愛い声ですが)そこそこ歌も楽しめます。


やっぱりこの映画、全編字幕付でちゃんと見てみたい!!どこかでひっそりと発売されていたら是非ともご一報を下さい。

《キャスト》

バスティアン: セルジュ・ダンブリース(Serge Dambrine 13歳 シャイヨー少年合唱団所属)
バスティアンヌ: エマニュエル・プラ(Emmanuel Prat 14歳 シャイヨー少年合唱団所属)
コラ: マチュー・ラカイユ(Mattieu Lacaille 12歳 サン・ルイ少年合唱団所属)



セルジュ、エマニュエル共に何枚かのレコード録音に参加しているそうです。



高めのソプラノボイスなのでアルトパートのコラ役がちょっともったいない気がした、マチュー君。プリティーフェイスで一番お好みなので女装で見たかった(笑)なあ・・・。

【少年合唱団篇】


このオペラ自体、少年(少女)合唱団でもいくつか取り上げています。なんといっても有名どころは、ウィーン少年合唱団。映画「野ばら」で1曲、また'70年代と思われるドキュメンタリーの中でワンショットですが、初めて歌う映像を見られて感動しました。何度見てもこれがなかなかの出来栄えで、フルバージョンで作ってくれたら良かったのに・・・と、軽く溜息ついちゃいましたね。


[記憶がちょっと曖昧なのですが、確か'96年に来日したメンバーがプログラムAで「バスティアン〜」を演じたと思います。*2残念ながらちょっとソリストの力量不足で見ていて辛かった、覚えがあります。主要3人しか出演しないオペラで、技巧的にも子供向けとは言い難い作品なので、満を持したソリストを揃えていてくれたらどんなにか素晴らしかったでしょう。


CDでは、ウィーン少年合唱団が年代違いで2枚歌ったものがあります。(ゲオルク・ニグル君のエントリに記載)



最近優れたソリストを輩出しているポズナニナイチンゲールの団員が歌ったもの。「輝ける天使たち」というドキュメンタリーの中で紹介されていました。ドイツ系の発音とは違って、なんか妙に素朴な味わいがする一節です。着替えのシーンが妙に色っぽかったりする(笑)。


他にも、映画「コーラス」で一躍有名になったサンマルク少年少女合唱団の一風変わった(笑)映像があるようですね。奇抜な衣装と演出ですが、コンサートDVDにも出演した少年と少女のソリストが歌っています。


◆2012.12.6追記:実は最近になって、この映画の輸入盤のみLPが発売されたのを知り、中古で購入しました。映画のサントラというよりも、3人の少年たちの素朴なオペラ歌唱というミュージック盤で、非常に得した気分。歌詞がフランス語で聴くのは初めてですし、少年達も決して上手とは言えないものの、なんか味わいがあります。音はモノラルっぽい感じでしたね。

*1:原題は、「BASTIEN,BASTIENNE」 仏'79年製作

*2:その時のソリスト名などは、後ほど調べて追記しようと思います。