荒削りで少年らしい素朴さ
私が今でも大好きなボーイソプラノを紹介します。
ジェームズ・レインバード(JAMES RAINBIRD 1975年5月生)、イギリスはウェスト・サセックス出身で、経歴を読むとKING'S HOUSE SCHOOL CHOIRに所属し、1984年よりソリストとして歌っていたそうです。
彼の名を知ったのは、子役時代のクリスチャン・ベールが主役の映画『太陽の帝国』。上海で裕福な暮らしをしていたジムが、”幸福だった時代”に教会で歌う”SUO GAN"のメロディ。*1どこか切なく懐かしい旋律を、実際に吹き替えで歌っていたのが、ジェームズ君でした。
この映画のおかげか、以後SUO GANという曲は至るところで聴けるようになりましたが、誰が歌っても初めて聴いた時のジェームズ君の印象が強く脳裏に焼きついていたため、聴く度に思い起こされておりました。その後、「スノーマン」の主題歌”Walking in the Air”を聴いた時も、やはり「この声はいい!」とますます好きになっていったのです。
【独特の味わいを感じさせるアルバム】
初めて彼のソロを堪能できるCDと出会ったのは、メノッティ作オペラ「アマールと夜の訪問者たち」。キリスト教に疎いので、物語の理解度はいまひとつなのですが、母と二人きりの貧しい暮らしをしているアマール少年が主人公。母子がある夜、不思議な訪問者を迎え入れてて起こる、奇跡のお話という感じでしょうか。
ジェームズ君のボーイソプラノは、地声に近い音域はやや荒削りで可愛らしさも残していますが、思い切りの良く張り上げたソプラノがまさに元気少年という感じで、そこがどうも私の琴線をくすぐります(笑)。歌声に不思議な説得力があって、「聴いてよ!」と呼びかけられ、すぐに彼の世界にズルズル引き込まれてしまいます。
幸いなことに最近になって、12歳の時のソロアルバムも復刻されました。あまり耳馴染みではない珍しい曲が多いのですが、「アマール」で感じた情感たっぷりでありながら、かなり元気モードの歌声に溢れています。こうやって聴いてみると実は、”SUO GAN”の時のほうが、「猫かぶっていたのか?」と思うほど。
そんなジェームズ君の現在は、ロンドン界隈でミュージカル歌手(シンガーソングライターも)として活動しているようです。どんな歌声になったかは分かりませんが、確かに演技と歌、は彼の天職かもしれませんね。いつかビッグになって再び現れてくれたら、面白いなあ、と思います。
Sublime Treble Voice of James Rainbird
- アーティスト: James Rainbird
- 出版社/メーカー: Priory Records UK
- 発売日: 2004/12/28
- メディア: CD
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