BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

森に愛された天才ピアニストの物語、『ピアノの森』

人気コミックの初映画化

ピアノの森

上戸彩ちゃんや神木龍之介君など今をときめく若き役者達が声優に挑戦!という話題ばかりで宣伝されていた『ピアノの森』を東京で見てきました。もともと原作漫画の大・大ファンだったので、半年前から期待に胸弾ませていた映画だったのです。


上映館は、懐かしの丸の内プラゼール。この映画館が何故にひときわ思い出深いのかは、後日語るとしまして、有楽町マリオンのカゲに隠れてひっそりとしたこの映画館は、なかなかの穴場で気に入ってます。首まですっぽり収まるゆったりとしたシートで客席数もそれなりに多く、立地も一等地でありながら、不思議に地味なラインナップでいまひとつ盛り上がりに欠けるところがまたなんともたまりません。


案の定?日曜だというのにかなりスカスカではあったのですが、客層は、アニメ映画で1番のターゲットである子供より、年代が高めの観客が多かったのが印象的でした。映画が始まると、いつだって感情過多気の私は、ただ深い森の画とピアノの音色が響いてくる度にやたらと涙を流してました。


もともと芝居や映画はスッと入り込め、一番素直な心持ちになるせいか、ちょっと琴線にひっかかるだけで滝のように涙が滴り落ちます。手馴れたもので、音を立てずにそそと泣くのが上手になりました。ホント、このときばかりは女優になれちゃうかも(笑)なんて思います。不足な部分があれば勝手に、脳内変換で倍に膨らましてしまえるのも特技?ですし。

【もっと長編で見たい映画】


ストーリーは、幼い頃からピアニストになるために猛特訓している東京のお坊ちゃん・天宮修平が中部地方の小学校へ転校して、「森のピアノ」を弾く自然児、一ノ瀬海と出逢うところから始まります。そして運命の出会いがもう一つ。その昔、天才ピアノニストとして呼ばれ大活躍しながらも、車の事故で再起不能となってしまった阿字野壮介。彼は、二人が通う小学校の教員として淡々と生きていたのですが、海(カイ)のピアノを聞いて衝撃を受け、海の指導者となって再び音楽の世界へと姿を現すのです。


めくるめく「ピアノの森」ワールドのエッセンスの部分を集めながら、海と修平のドラマチックなピアノへの”目覚め”と友情を描いていますが、いかんせん時間が少ないため導入部の印象しか与えないのがとても残念。映画としては、飽きる部分が全くなく、あっという間に見終わってしまうのですが、個性的なキャラクターの魅力がほとんどサワリだけしか描かれてないのが切ない。


特に海の母親、レイちゃん(怜子)の描き方がとても薄くてもったいないのですが、まあ子供も見るアニメだけにあまり触れるとまずい職業、というのが苦しいところかもしれません。そういう意味では、原作のちょっと大人向きの「」の部分をかなり薄めてしまってる感じです。またこの漫画の核ともなる神秘的な「森の中のピアノ」という設定ももっと描き込んで欲しかったです。


やはり原作の持つ奥深さや広がりが、アニメでは随分ミニマムになってしまったのが惜しい。そして声優に初チャレンジしていた若き役者さん達。なかなか頑張っていて悪くはないです。でも、海だけは、最重要人物なので巧い本職の声優さんで聞きたかった、のが本音かな。とにかく、ひとまず満足はいったのですが、これは単発ではなく連続TVアニメで見たい作品だなあ、と改めて思いました。はてさて願いは叶うかしら?


さて次に控えしは、これまた大好きな漫画『キャプテン』の実写映画です。夏休みに子供にかえって楽しもうっと。


ピアノの森 オリジナル・サウンドトラック

ピアノの森 オリジナル・サウンドトラック

映画のサントラです。


ピアノの森(14) (モーニング KC)

ピアノの森(14) (モーニング KC)

コミックの最新刊。絵本付の限定版を購入しちゃいました。相変わらず「おまけ」に弱い。。。(汗)