BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

’07ウィーン少年合唱団公演感想(2)

最後まで消化不良だったコア

東京ラスト公演となった16,17日のウィーン少年合唱団公演を見てきました。場所は、東京オペラシティ。最近は、サントリー・ホール(改装中)でなければ、このホールというくらい訪れる頻度が高くなりました。オペラシティの内部はあまり変化がなく、妙にホッと嬉しかったりします。


指揮のマルティン・シェベスタ先生の人懐こい笑顔はたまらなく素敵でしたし、始めのほうの公演より随分少年達も慣れたムードで歌っていました。しかし、このホールでは、ピアノを強く弾くと音の振動がビリビリと体感できるほど響きが良いので、ソプラノ陣の大音量は拡張されまくりでした。


確かにソプラノメンバーのまとまりは随分、良くなっていて元気満点!内心、「これがウィーン少年合唱団ではなくて、アメリカの少年合唱団だったらどんなに楽しかっただろう。。。」とついつい思ってしまうほど、ミュージカルナンバーや民謡を聞くには最適な合唱だったかもしれません。パワフルで勢いがあって、能天気(笑)。全くあと腐れがない歌声。


その分、ウィーン少年合唱団特有のデリケートな響き、抑えの効いたテクニックは全く期待できませんでした。目をつぶって聞いたら、きっとウィーン少年合唱団とあてるのは至難の業でしょうね。そして、ソプラノよりもイタタタだったのは、アルトパート。半分以上の団員が変声してると見えるのですが、これはたまたま運が悪く、パート交代が進まなかったから・・・?ではないのだろうなあ。


アルトというのは、そもそもそんな変声してしまった少年達のためのものではないはず。ちゃんと正真正銘のボーイアルトを育てて欲しいものです。地味でもコーラスは、アルトが命。残念ながら、あまりのダメダメぶりに


 こんなアルトなんていらない!


と半分さじを投げてしまいました。かといってソプラノが全て手放しでグー!というわけではなくて、やはりボリュームを出すことに必死になりすぎ、楽しく歌えればいい、とばかりに高い声を張り出しまくってるので「」さが目立つ時が多々ありました。

【この子の声が聴きたかった】


ああ、遠征疲れで文句ばかりになってしまいそう、マズイマズイ(汗)。17日の公演では、ソプラノの少年達の数名が「昔のウィーン少年合唱団」のような七三分けの髪型で登場しました。一瞬、「え?」と思っちゃうほど往年の団員にソックリだったのがまた可笑しい。きっと、ちょっとしたジョークなんでしょうけど、照れたような可愛い笑顔が見られました。


シュベスタ先生とのコミュニケーションもかなり良く、メンバーが常にニコニコ笑顔で見交わしているのがとても良かったです。指導者へ心から信頼・親近感を抱いている姿は少年らしくてなんとも清々しい感じでした。両者がバラバラに見えた過去の来日メンバーもいましたし、声に力がなくて24人もいるの?という時もあったことを思えば、今回の少年達は、充分に存在感があり、ピークのボーイソプラノが何人もいて声質も凛と美しいというのは、かなりポイントも高いですし。


この2日間の公演では、「翼をください」「涙そうそう」と大好きな日本のポピュラーソングがとても良かったです。また英語の歌も日本語の歌も発音がいつになく良かったです。宗教曲は、全然ありがたさが無かったけれど(汗)、楽しい曲はどれも生き生きと魅力がありました。


ソロで今回、一番目を引いたのは、「美しく青きドナウ」のソプラノソロを取った前列向かって左端の少年。アレクサンダー・ポリ(Alexander POLLI)君、11歳ではないかな、と思うのですが。まさにウィーン少年合唱団を彷彿させる(って本物ですけど)透明な美声でした。往年のウィーン少ファン達と「あの子は何者?」「秘密兵器を最後の最後に出すなんて」と言い合ったほど”素材に良さ”を感じました。どちらかというと16日のほうが、彼自身の出来は良かったのですが、先が楽しみです。


2002年の時も、第二ソプラノソリストと思われる少年の歌声が素晴らしく、「この子がトップソリストの時を見たかった・・・(涙)」と思いました。やっぱり私達のような少しばかり古めのファンには、頭の中に「この声こそ、ウィーン少だ!」と焼きついてるものが強すぎて、ただ普通に巧いボーイソプラノでは満足できないのが口惜しいです。


ふと見廻すと客層に”高齢化の波”を感じました。世界で1,2を争うほど厚いファン層を持つ日本の中でも、少しずつ見えない変化は起きているのかもしれませんね。何はともあれ、来日した少年達には良い思い出を抱えて、元気に故郷へ帰ってもらいたいものです。すでに2008年組の東京公演日程も決まってるのが、ぬかりないジャパンアーツ。。。(笑)


二人目の日本人団員、シンタロウ君はさていつ来日やら・・・?


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