BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

少女の夢を乗せ、ピッカピカの3人組登場

このところなんだか妙に疲労感が抜けず、本当にサッパリしない日々です。梅雨のシーズンにはまだ早い、のに困ったものだ、と思いながら夜にふと昔のジャニーズ系アイドルの映像を見て癒されていたりします。な〜んにも考えずに派手な衣装やアクロバッティングダンス、とびきりスマイルを見ているのが心地良い。思えば宝塚のショーが好きなのもこのあたりに共通項があるようです。


そんな折にふと思い出したアイドルがおりました。'80年代終わりに台湾で結成された少年アイドル、小虎隊。名前を聞けば察しがつくとおり、日本の少年隊に影響を受けてデビューしたグループ。彼らを初めて見たのは、'90年頃NHKで放送された「アジアの少年隊」という番組でした。デビュー後は、長渕剛の「とんぼ」や少年隊の「What's Your Name?」などをカバーし、ヒットさせたそうです。


ダンスの完成度は少年隊の足元にも及びませんが、黙々とレッスンを重ねる3人のまっすぐで清々しい瞳はとても好感を抱かせました。メンバーは、カッコイイ系の呉奇隆(ニッキー・ウー)、素朴で可愛い最年少の蘇有朋(スー・ヨーポン)、歌の上手くて親近感がある陳志朋(チャン・チーポン)と、何やらポン酢みたいな名前ではありますが(笑)、それもご愛嬌で。


NHKの番組では、大勢のファンの前で歌ったり、ダンスレッスンをしている姿の他に真面目な表情でインタビューを受ける3人が映りました。踊りのレッスンを始めたのはデビュー後のため、自分達の実力についてはまだまだ、と分かっているのです。その中でもアイドルとしての責務をしっかり認識している姿は潔くて、まさに"アイドルの鏡”という印象を受けました。


およそカッコイイとは程遠いダッサイ踊りではありましたが、なんかこの素朴さがたまらない魅力でした。そして日本のアイドルと何よりも違っていた点は、彼らの目的意識。台湾少女達の夢と憧れを一身に受けて、彼女達の「お兄ちゃん」として恥ずかしくない行動を行わなくては・・・という使命感に燃えた姿でした。今では日本でも沢山のファンを獲得している台湾アイドルの先駆者的な存在だったと思います。

【その後の小虎隊】


彼らに再会するのはそれから5年ほど経って、私が香港・台湾アイドルにハマった頃でした。ジミー・リンのCDと並んで、ニッキーの日本盤ソロCDが売り出されて俄然興味が湧きました。その頃は、志朋君が兵役に旅立ち、有朋君とニッキーがソロ活動を行っていました。台湾全土に大旋風を巻き起こしたジミー・リンも兵役へと旅立った頃。青年男子の宿命とはいえ、兵役というのは過酷な試練だなあ、と思ったものです。


ニッキーのPVなどを購入したのですが、彼はちょっとカッコつけた筋肉系ハンサムマンで日本人には、かなりウケそうなタイプでした。たとえればちょっと昔の近藤真彦にソックリなんです。ビデオを見ても、クール系をバリバリ意識して演出しているのがストレートに伝わってくるので可笑しくて仕方ない。


ボロボロのジーンズに黒バイク、白いタンクトップからこれでもかとのぞく筋肉、カッコつけまくりのカメラ目線とキメキメポーズの数々。その後ろに鼻にかかった歌声が流れる。。。プチ'80年代の様相。かといってふとこぼれる笑顔が妙に懐っこくて憎めないのです。


ファンにもみくちゃにされた時に痛めた肩のせいで兵役を免除になったものの、どうしても一人前の男として兵役を受けたいと、だいぶ後にはなりましたが志願して入隊したということですし、今では結婚もしたとのこと。ニッキーみたいな一本気で信念を感じさせる男性なら夫としては申し分ないでしょう。


有朋君は、(日本の東大にあたる)有名大学に進学した秀才だったそうです。15歳という最年少で小虎隊に参加しましたが、それこそ勉学もアイドルも、ということでかなり大変だったでしょうね。彼も視力があまりに悪くて兵役免除となったそうです。小顔で鼻筋スッキリとした台湾風美少年でした。2枚ほどソロCDも持っているのですが、こんな小動物系の顔立ちでありながら低くてメローな歌声、ちょっとムード歌謡入った曲調でも爽やかに聞かせてくれました。


志朋君が兵役へ旅立つ直前に小虎隊活動休止を意味する「行ってらっしゃいコンサート」なるものも行われ、そのビデオも購入しました。うる覚えですが、確か志朋君がステージに軍服姿で立ち、挨拶していた覚えがあります。日本人なら「うわー(汗)」と引いちゃうような姿ですが、彼らにとっては至極真面目な一瞬。表情も一瞬にして引き締まって、なんだか不思議な感動を覚えてしまいました。*1


志朋君へ捧げたようなPVまであります。ちょっとしたドラマ仕立てで、長い旅路から夜行バスに乗って帰ってくる彼を、二人が迎えに行くという内容。兵役から帰ってきてからの姿を先取りオーバーラップさせているのでしょう。演じる3人の「僕らの友情は永遠だよ」というメッセージが色濃く描かれていて、あまりにベタすぎて(笑)日本ではなかなかこういう作品は作れないでしょうという感じで。


しかし一方で、そのクサすぎる映像に目頭をいつも熱くしてしまう私もなんだかんだ言って「古い人間だよなあ・・・(苦笑)」と思ってしまいます。今でも俳優などで地道に活動している3人ですが、いつまでもさりげなく好きでいられるグループだなあ、と思っています。

■PV集:
その1 ・・・ 小虎隊-星星的約會 - YouTube
原曲は、WINKだったかも。たどたどしい踊りがやみつきになります(笑)。しかも見慣れてくるとちょっと”素敵”に見えてくるのがオソロシイ。。。


その2 ・・・ 星光依舊燦爛 - YouTube
サビが「君だけに」にソックリですが、見るたびに熱いものが込み上げるPVです。いかにもアイドルはこうあって欲しい、と夢想してしまいます。


男孩不哭 (演奏版)

男孩不哭 (演奏版)

*1:アイドル誌のピンナップにも軍服姿のアイドルなんかが挟まっていたりして、やっぱり国の違いをかなり感じてしまうのです。