ドラマ化された白虎隊
昨夜、ドラマ『白虎隊』を見終わりました。もちろん、涙腺が壊れ気味で疲れ果ててしまったので(笑)、今日はゆっくりお休みしました。ドラマを歴史ドラマとして見ていた部分と、一つのドラマとして演出・内容・脚本・演技をトータルで分析してしまう部分もあり、なかなか大変でした。
今回は、山P(山下智久)演じる酒井峰治が主人公だったため、会津藩と白虎隊を別な角度で見られてそこはとても面白かったです。日新館での少年達、自刃した士中二番隊以外の少年達の行動、仲間からはぐれて命を取り留めた峰治とその後の篭城戦まで丁寧に描かれていたと思います。飯盛山で自刃した少年達については、史実に近い形で淡々と描れていましたが、自刃の直前に山腹で揃って一礼をするシーンは切ないものがありました。
泣き所は、母と子の白虎隊、と銘打ってる(?)だけあってやはり内心は帰ってきて欲しいと思いつつ、見送る母親達の悲哀でしょうか。薬師丸ひろ子さんは、”最愛の息子への厳しさと心の奥に秘めた母性愛”をちゃんと演じきっていてさすがです。少女の頃から澄み切って高めの若々しい声が、母親になってからもどこかしら涼やかさを見せているので、厳しくとも憎々しくは見えなかったです。
【ドラマ自体の出来は・・・やや残念】
山Pについては、高い声ではないのですが、ロレツがあまり良くなく、喋るとちょっとフニャフニャしてるので、ヒヤヒヤしながら見ていましたが、役に対して真摯さがたっぷり出ていてやっぱり「良い役に出会ってキミは本当に良かったね。」と何度か思いました。道に迷ってもはやこれまで、と死を覚悟するシーン、雨に打たれての熱演には「当時の峰治もそうであったのでは?」と思わせるものがありました。全体的に真っ直ぐな表情はかなり麗しかったです。
ただ「Pちゃんのハト胸」には参りましたね。目のやり場が・・・(笑)。あんなに立派な体つきならスタッフも気を遣ってもう少し肌の露出を抑えるなり、工夫してあげれば良いのに。スポンサーにTBCが入ったからサービスなのかな?と勘ぐってしまいました。怪我を負った又八(藤ヶ谷太輔)と峰治が、百姓姿で城に帰るときに「鉄砲で撃たれて、そんなにスタスタと歩いていくのも変じゃない?」と些細な所がゆるくて残念。
篠田儀三郎役の田中聖君は、戦闘シーンから自刃のシーンまでキリリと引き締まった表情がとても”白虎隊”らしくて素敵でした。史実的にも隊長補佐というリーダー格で重要な人物でもあったので、出番が効果的に使われていたら良かったかもしれません。全体的にも白虎隊という集団劇をもっと増やして人間関係の深みをもたせたら・・・と脚本には、「ああ、勿体無い!」と思わせる部分が沢山ありました。
松平容保役のヒガシ(東山紀之)は、実直すぎて融通きかなそうなところが、ピッタリ。ジャニーズメインの配役ではありますが、それでなくてもヒガシは適役だわ、と思わせました。あと20年後、山Pもこんな風になっててくれるのかな?全体的に几帳面で淡白なドラマ展開で、戦闘シーンも、人間関係の描き方もやや平面的で迫力不足かな、と思いました。
しかし、そろいの黒い隊士服を纏った少年達はとても麗しかったです。目の保養とはこのことでしょうね。そして、彼等が気のせいか役柄を把握した故か、キリリと引き締まり、どこか達観した表情をしているのには感動を覚えました。
【もう一つの白虎隊ドラマ】
こんな風に感じてしまうのは、20年前の日本テレビ版『白虎隊』のクオリティが非常に高かったせいでしょう。今回のドラマと収録時間が同じくらいですが、当時の有名実力派スター勢揃いの豪華なキャストに、魅力的な配役(特に土方歳三役の近藤正臣さんが物凄くカッコ良く思わず惚れました!)、ドラマティックな歴史大作でいかに傑作だったか、がつくづく分かりました。
確かにその分、かなり脚色もあってフィクションで味付けしすぎてるかもしれませんが、会津藩が戊辰戦争で薩長の恨みをかう辺りの歴史的背景と時代の緊迫感がヒシヒシと伝わってきて、目が離せない面白さだったのです。新撰組と会津藩の関わりを知って、目から鱗、だったのもあります。今回のような親子に焦点をあてるような作品であれば、むしろ連続ドラマで丁寧に描いていたほうが効果的だったかもしれません。
連続ドラマでちょっと思い出したのですが、何故NHK大河ドラマの幕末モノには、坂本竜馬・西郷隆盛など薩摩藩・長州藩・土佐藩など西軍の主人公ばかりなのか?という疑問。あの新撰組ですら、長い大河史上、初めて2004年に扱われました。
それは、「お国」管轄の公共放送にとって、戊辰戦争で敗れた東北諸藩は「いまだに賊軍」というスタンスで扱われているからだ、という噂を聞いたことがあります。真偽のほどは不明ですが、現代に至ってもなかなか超えられない偏見の深さをしみじみ感じたものです。
やっぱり歴史というのは、一面的な見方だけでは絶対に片手落ちなんだと思います。だからこそ、面白いし、深い。私ももっともっといろいろと学ばなければいけないなあ、と我が身を反省したり。今回のドラマはとにもかくにも若い人に見てもらって何かを感じてもらいたいなあ、と思いました。命や教育がどうのこうの、と言われていますがそんな説教よりもこのドラマ見せたほうが伝わるものが大きいような気がします。
それはともかく、山Pの「白虎隊」DVDが発売されたら、パッケージと特典映像目当てで買ってしまいそうで怖いです(笑)。
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