ボーイズ・エア・クワイアは、過去4回の日本公演の合間に渋谷HMVでのサイン会をイベントとして行ったことがあります。
初回は、エドワード・バロウズがソロで登場。簡単なインタビューと確か「ブルーバード」を始めとして2曲程度ナマで歌ってくれたと思います。*1
インタビューでは、家族が音楽一家で兄弟で演奏をしたりもする、ということを言っていたような気がします。楽器演奏かもしれませんが、想像すると「かなり贅沢な光景だなあ・・・」と羨ましくなりました。ヨーロッパの古風な一家団欒〜勝手にペチカの前(笑)で3兄弟がソプラノボイスで歌ってる図、を思い描いてウットリしてました。
変声期にさしかかってきたエドワード・バロウズは、サインをする姿を近くで見ると身長も伸び盛りという感じで、足がとても大きかったことを妙に覚えてます。「コナー並に大きくなりそう!」と思ったものです。サイン会の開かれたクラシック売り場には、何気なくバロウズ夫妻が妹を抱いて見に来てました。疲れて眠ってる少女(末娘かな?)は、小さいながらもお兄さんソックリの美貌で先が楽しみだなあ、と思ったものです(笑)。
'02年10月には、新譜のキャンペーンでコンサート先行のイベントが同じ場所で開かれました。4人の来日メンバーとコナー・バロウズがイベントに来ていました。'02年と'04年に来日したウィリアム・ブルティール(William Bulteel)とCD『少年のグレゴリアン』のソリストである、トリスチャン・ハンブレトン(Tristan Hambleton)*2、デビッド・タグ・オラムで、CDから「ステファニ/スタバート・マーテル〜荒れ野の果てに」をメドレーで歌ってくれました。
ウィリアムは、イギリスのボーイソプラノ特有の優しくて安定感のある歌声が印象的でした。残念だったのは、CDでソロを歌っていたトリスチャンが変声期に入ってしまい、ソロを取れなくなってしまったことです。ソリストということで自信を持って歌っていた少年だったでしょうから、ちょっと辛そうな表情も見え隠れして「ソプラノで歌いたかっただろうなあ・・・。」と思ってしまいました。
メンバーへのインタビューでは、「コナー・バロウズさんって怖いですか?」という妙な(笑)質問もありましたが、トリスチャンが「彼はリーダーとして最高です。決して厳しいことはなくて、彼自身もボーイソプラノとして歌ってきた経験があるということでテクニックがあるし、非常に音楽に造詣が深い。素晴らしいリーダーです。」と語り、コナーが握手を求める、という微笑ましい一幕もありました。
【 その後の来日公演 】
'02年の3度目の来日公演があり、前述のトリスチャンの代わりにクリス・リース*3が第一ソリストを務めました。マリオネットのようなちょっと変わった顔立ちの少年でしたが、少年らしい澄み切った歌声ですが、全く危なげない安定したボーイソプラノで、とても気に入りました。ボーイズ・エアとして彼の録音が残らなかったのが残念です。
一番最近となる'04年12月の公演では、ハリー・セイバー(Harry Sever)がトップソリストでとても目立っていました。友人Yちゃんが「声質がアレッド・ジョーンズに似てるから気に入るはず」と推薦してくれただけあって、確かに彼の歌声を聴いていると、あの懐かしのアレッドを思い出せる歌いまわしがいくつもありました。どこまでも爽やかな風のような甘い歌声と、歌の世界に没頭して身体全体で歌いこむ姿が感動的で、ここ最近で最も感銘を受けたソリストでした。
テクニックを持った少年は少なくはないと思いますが、天性の表現者、と思える少年はごく僅かです。ハリーの歌には、特別な味わいがあり、歌うことで彼自身が高みへ昇華していこうとしてるような気高さ、まで感じられました。ハリーは、BBCの選ぶ2003年度のCHORISTER(いわば英国ナンバーワン)に選ばれているということなので実力は申し分ないわけです。
その後、いくつかソロを歌ってるCDを聞き返しましたが、CDでは上手なソリストというごく普通の感想しかありませんでした。一心不乱に歌いこんでるあの姿があってこそ、ということで改めてナマというのは貴重なものだなあ、と感じました。
ということでようやく4回のボーイズ・エアを連載を終了できます(笑)。なんだかちっとも語り尽くした満足感がありませんが、それは日本で沢山発売されたアルバムをなぞることで補おうかと思います。この少年達のドリーム・チームは今後も続くのか、分かりませんが望みを持って待ちたいと思います。
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