それはコナー・バロウズから始まった!
日本でもここ最近、リベラやThe CHOIRBOYSなどヒーリング系ボーイソプラノが大活躍するようになってますが、その走りとなったと思われるのがボーイズ・エア・クワイア(BOYS AIR CHOIR)だと思います。
'97年にひっそりと発売された(販促ポスターなどは結構派手にCD店に飾ってありましたが)ボーイズ・エア・クワイアの『少年のレクイエム』は、当時私をひどく驚かせました。それまでクラシック界でもどちらかというと日陰の身、根強いファンやマニアが多いのに、大々的に少年ソリストが注目されることもない日本で、そう、こともあろうかこの日本で(笑)ボーイソプラノ・グループが登場したのが衝撃だったのです。
ボーイズ・エア・クワイアがどういうコンセプトで作られたか全く分かりませんが、当時、イギリスで名を成していたトレブル、コナーバロウズ(CONNOR BURROWES)がたった一人でこの看板を背負って現れた時は、狐につつまれたような思いがしました。どうみてもソロなのにいかにもグループ名ですし、明確な活動の内容も不明、「新手の売り出し作戦か?」とか。だとしたら、実力を備えたボーイソプラノソリストのコナーに対して随分とまたぞんざいな扱いじゃない?と納得いかないものがありました。
まさかその後に、このコナー指揮のもと、グループとして日本でライブ活動まで行うグループになるとは、夢にも思わず・・・。”聖歌隊のドリームチーム”と評したのは誰か分かりませんが、ボーイズ・エア・クワイアの登場が今のヒーリング系ボーイソプラノ(プチ)ブームの先陣を切ったのは間違いないでしょう。ということでいろいろと思い入れがあるようなないような、でまとまらないなあ、となかなか書けないでおりましたがボーイズ・エアの蔵出しをちょっとしようかと。
【 待望のファースト・アルバム発売! 】
コナー・バロウズ、という優れたソリストがいる!という第一報はこれまた(我がトレブルマニアな友人)Mさんからのお薦め情報でした。眼鏡をかけた地味ないでたちで、古楽グループと共にニッコリ微笑んでいる「Consort Songs」という輸入盤CDでの出会いがお初です。
ちょうど日本でのデビューの1年前頃に発売されていますね。 コナーは、1983年3月13日生まれなので、この時12か13歳。セント・ポール大聖堂聖歌隊のヘッド・コリスターを勤め、幼い頃からかなり注目を受けた実力派で、大舞台もいくつも経験しているトレブルでした。Mさんはセントポール大聖堂のシリーズを買い集めていたので、「この子、すごく上手いわ〜」と大絶賛していたのを覚えてます。
一方、私と言えば、この耳馴染みではないかなり地味な選曲のアルバムを聴いて、「うーん、どれもこれも似たように聴こえるなあ(汗)」という感想。発声のみならず、英語の歌詞が実に鮮明に美しく聴こえる、聴いてて非常に気持ちの良い声でまさに「清潔感溢れる正統派」というのがコナーの印象でしたが、のめりこむようなタイプではありませんでした。続いてコナーと知らずに購入していたのがメノッティ作オペラ「Martin's Lie」、これもコナーが歌いまくりではあるのですが、ちょっと作風的に受け付けないところがあり、魅力を感じるまでには至りませんでした。
そして待ちに待った日本盤、『少年のレクイエム』続いて、クリスマス時期に合わせて発売された『ビリーブ』、胸を高鳴らせて待ったアルバム達は、「何故にこの選曲・・・?」と私を大いに悲しませました。コナーほど安定したテクニックを持ったソリストに、普通のボーイソプラノとなんら変わらないような曲を歌わせるこのセンスの悪さに愕然。
有名な宗教曲やオペラの一節などを歌わせたら後々マニアに語られるだけの涙ものの作品になったと思うのに・・・。ヒーリング系路線を狙ってどっちつかずになってしまい、結果的に彼の魅力を半減させる作品になったのは否めません。変声前の貴重な時期のアルバムということでこんな恨みが残ってしまったのですが、それでもコナー・バロウズの声の響きは素敵ですし、日本でソロアルバムが発売されたというのも奇跡的なこと、と思う昨今です。
(パート2に続く)
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Martin's Lie / Five Songs / Canti Della Lontananza
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