BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

ウィーン少年合唱団の迷(?)曲集

忘れられない、愛すべき珍品たち

ウィーン少年合唱団


ウィーン少年合唱団のファンになって間もなくの'81年頃、3枚目となるLPを買いました。草原を歩く少年達の麗しいジャケットに惹かれて買った『愛唱歌集』。現在は『世界をめぐる ウィーン少年合唱団』という廉価盤*1になっています。


全盛期の'64年録音ということで素朴なアカペラでも合唱の質は高い民謡集です。「おおスザンナ」や巻き舌ドイツ語訛りの「ワルツィングマチルダ」にちょっと新鮮な驚きを抱き、「さくら」にはやっぱり昔から日本公演来てるもんね〜、などと思いながら気持ち良く流しておりました。


そこへ突然流れてきたのはあの「ソーラン節」。はあ〜??としばし唖然。しかし、私の当惑をものともせず、なんとも勢い良くハイ・ソプラノの
 ハア〜、ドッコイショ〜♪ドコイショ!

という掛け声が追い討ちをかけました。聴きながら「おいおい、そりゃーないざんしょ!」とドーナツ盤にひたすらツッコミ入れてました。しかも妙に上手いのが可笑しい。


それにしても、ボーイソプラノ風のソーラン節というのは、想像以上のインパクトで日本の民謡の新たな魅力に目覚めた瞬間でした。(ホントか?!)ウィーン少年合唱団の公演でアンコールに日本の歌が歌われることは数多いのですが、大概レパートリーはお決まりのものばかりです。たまにはソーラン節(→客席もかなり盛り上がりますしね)や各地の有名な民謡、ポップスなど斬新なものを歌って欲しいものです。


2000年来日組の時には、テレビ朝日*2のタイアップ戦略として、映画『ドラえもん』の主題歌が発売されました。ドラえもんにはなんの罪はありませんが、このときはウィーン少年合唱団がちょっと気の毒に思えました。ドラえもんのぬいぐるみを持って*3TV撮影に応じていたり、凡そコンサートのムードにそぐわないところで誰でも知っているあの歌が流れてくるのです。奇妙なアンバランスさにひきつり笑いが・・・。


その後、テレビ朝日がスポンサーから降りたときには、ホッとしたものです。あまりに話題性狙いの世俗的な宣伝媒体として使われるのは、長い歴史を持つ合唱団のプライド(すでに死語だったりして?)としてもどうかと思ったもので。。。まあ、数十年後はもしかしたら”お宝”になるかもしれないのでCDは購入してますが(笑)。

【 21世紀最初の珍しいポップス集 】


2002年に発売された『ゴーズポップ』。一部、私の周りで評判が悪かったこのCD、そのケッタイぶりになんとも言えない愛嬌を感じて、珍しいことに気に入っております。


まずは、「タイタニック」の主題歌から始まります。何度も聴いたせいか、私の頭の中では、タイタニックのデカプリオの背景にはセーラー服の少年達の幻影が見えるほど(笑)この曲が染み付いてしまいました。曲の中で一番好きだったのが、ラストのエンヤ。やはりヒーリング系のサウンドはボーイソプラノには良く似合いますね。


その他の曲たちも'70〜80年代の息吹を感じてタイムスリップしてしまうのですが、この選曲は一体誰の好みなのでしょうか?明確なコンセプトとかあるんでしょうか。*4私は妙に耳馴染みの曲ばかりで親和性があったんですが、確かに万人ウケはしないかもしれませんね。最近のウィーン少年合唱団の特徴である”軽めのソプラノボイス”で歌われるのであまり気にはなりませんが、これこそ昔の格調高い歌声ではちょっと無理があっただろうなあ、と思います。

【 ピンナップ写真の変化 】


2000年頃からウィーン少年合唱団の広報写真が大きく変わったと思うのですが、彼らのポップな今を捉えた魅力的な写真は、LUKAS BECKさんのものです。'04年発刊の『WIENER SANGER KNABEN』という洋書も彼の集大成のような本で、記事もありますが写真集と言ってもいいくらい楽しい写真で溢れてます。セーラー服を着ていても素顔の茶目っ気ある少年達の笑顔は変わらず、という感じですね。


珍しい中国遠征の様子(太極拳を眺める少年達とか)や、美智子様天皇陛下とウィーンを公式訪問したときの)がピアノ伴奏する横で団員が整列し歌っていたり、など日頃なかなか見られない写真が印象的でした。'05年来日のマニュエル君、フローリアン・リット君なども演奏旅行でちらほら映ってます。日本公演の時に、翻訳本でも出たらいいのに・・・と思う作品です。


ドラえもん30周年記念 東宝映画「のび太の太陽王伝説」主題歌

ドラえもん30周年記念 東宝映画「のび太の太陽王伝説」主題歌

かなりのトンデモ作品だと思います。間奏の「僕、ドラえもん!」も団員の掛け声です。

ゴーズ・ポップ

ゴーズ・ポップ

なーんか好きです、コレ。ウィーン少年合唱団にあるまじき怪しいポップさ。

Wiener Saengerknaben

Wiener Saengerknaben

これまたウィーン少年合唱団の21世紀、を感じさせる楽しい本でした。

*1:安いと侮るなかれ、旧ベスト盤LPもう一枚分入っており、なかなかの逸品です。大好きな「妖精の歌」のソロ有り。

*2:長いことウィーン少年合唱団のスポンサーを務めてました。

*3:少年達は気に入っていたみたいですが

*4:明らかに歌ってる少年団員達の生まれる前のポップスでしょうから。