あの娘はいずこに?
「天使の歌声」という形容詞は、ついついボーイ・ソプラノの特権と思ってしまう癖がついてますが、少女歌手にも多く使われています。ボーイ・ソプラノのガラス細工のような透明感とは異なり、どこかしら地に足をつけたような逞しさ(笑)を感じるのが少女の歌声のイメージ。
その中でも最もドッシリ感を感じたのがシャルロット・チャーチ(Charlotte Church)です。ちょうどコナー・バロウズ(ボーイズ・エア・クワイヤー)に続いて弟のエドワード・バロウズがアルバムを発売してまもなくの時期だったので、日本デビュー盤の宣伝広告を見た時、「今度は女の子なのね。」といった印象を受けました。
『天使の歌声』というデビュー・アルバムのジャケットは、シャルロットのとびっきりのスマイル!で、「どう、私可愛いでしょ〜」という押し付けがましいほどのアイドルイメージにやられて見事、お買い上げ(笑)いたしました。ぬいぐるみをギュッと抱いて無邪気に笑っているイメージとは裏腹に12歳とは思えない大人っぽいソプラノ声に「あれれ、ひょっとして騙されちゃったかしら・・・?」と心配になったものです。
曲はボーイ・ソプラノが歌う定番の作品群からスタートしていたのですが、この幼さにしてちゃんと声楽を学び、末はオペラ歌手?という抜群の安定感を持っていたシャルロット。彼女の歌声にはヒーリング・パワーよりも元気パワーが充満していて、ちっとも癒されません(笑)でしたが、それでも私の好みのギリギリのところで楽しめました。
ボーイソプラノには、どちらかというと「僕、歌ってていいの?(モジモジ)」というような遠慮深さ(あくまでイメージですが)を感じることが多いところですが、シャルロットには少女特有の「私を見てちょーだい!」という自信がみなぎっているのを感じました。
人好きのするとても愛らしい顔だちで、表情もクルクルと変えながらテレビ取材にも堂々と答えてましたし、ライブビデオを見た時も大観衆に向かって自分の魅力をアピールしまくってました。1曲だけデュエットで組んだ眼鏡のボーイ・ソプラノ君を完全にくってしまって「ちょっと”おばちゃん”入ってないかい?」と思ったほど。しかも真っ赤なスーツにダイナマイト・ボディーで歌う姿は、子供らしい顔立ちを除けばまるで大人の歌手のリサイタルようでした。
【 ポップシンガーへ驚きの転身 】
でも、彼女からは「何より歌が大好き!」というストレートな歌への熱情にとても魅力を感じました。ちょっと重みのあるソプラノなので、オペラ歌手になるなら、メゾやアルトに転向していくのかな?と思ったものですが、彼女はなんとポップスの道に進んでしまったようです。
久しぶりにAMAZONで検索してみると、「これがあのシャルロット?」と驚くような色っぽいジャケットがぞろぞろと・・・。まだまだ変貌するお年頃なので、路線変更していくことは考えられますが、クラシック界での若すぎる成功が、かえって彼女の何かを変えてしまったのかなあ〜?などと邪推してしまいます。
但し、活動的で好奇心旺盛だった少女時代の彼女を見ていて、「なるほど、これもありかなあ」と感じたりもしました。公式サイトで聴くと、ちょっと低めの地声で歌ってて、本当に昔の面影が全然感じられないですね。
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