BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

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大衆演劇の華、元祖!チビっ子玉三郎 白龍光洋

花の命は短し

白龍光洋

私が「チビっ子玉三郎」というネーミングを初めて知ったのは、'84年頃のことです。当時、大衆演劇の若葉しげる劇団に所属していた白龍光洋君(現:嘉島典俊)がきっかけでした。11歳という若さでありながら、色気のある女形ぶりで、一瞬でトキメいてしまいました(笑)。


TV出演は、フジテレビの「オールスター家族対抗歌合戦」。この番組は、スターが自分の家族や親戚などと出演して歌を披露するという番組だったので、光洋君は「こんな面白い子がいますよ」というちょっとしたゲスト扱いでの出演だったと思います。


お江戸の娘っこ、というような黄色の着物姿、ちょっと重そうなカツラにはカンザシや髪飾りも付いてました。妹の千春ちゃんが”娘”にちょっかいを出す若衆風(ちょっと杉蔵みたいですしたけど)で一緒にニコニコ踊ってました。(この時使用された曲は、「日和下駄」だそうです。)


感心したのは、光洋君のほのかな色っぽさです。真剣に踊りながらもふと合間に見せる恥らいつつも”誘いかける微笑”、このキメであますところなく発散される女の武器(笑)こそが大衆演劇の魅力だと思いますが、この若さでちゃんと身につけているところが素晴らしい!と。


うろ覚えですが、司会者が感嘆して「一体どんな気持ちで女形をやってるの?」と本人に聞いたところ、無表情に「オンナの気持ち」と言い放った光洋君に場内ドッとウケました。どんなもんだい!と得意気でもなく、かといって嫌々やってるわけでもなく、その淡々とした語りぶりに非常に好感を覚えました。


その後、マスコミの露出も増え、ミニドキュメンタリーも放送されてどんどん人気が出ていった光洋君。TVの時代劇や映画、里見浩太郎さんの舞台などにも出演する活躍ぶりでした。しかし、今と違ってなかなかタイムリーに情報が得られるわけではなく、モヤモヤとした飢餓感はつのる一方。なんとか「チビ玉」時代に一度その姿を見ておきたい、と願っていたのですが、ようやく彼が中学生に上がる頃、地元の会館で公演を見ることができました。

【 チビ玉観劇の思い出 】


華やかな女形はもちろんのこと、ミニ芝居や男の踊りもあり、二部ではドラムを叩いたり、歌ったりという内容でした。大衆演劇自体、テレビで紹介されたものを見る程度の知識しかなかったので、こんなに盛り沢山で、人を楽しませるために出し惜しみないものなのかー、と感心しました。


少しずつ大人の役者への道を歩んでいく過渡期の時だったと思われるので、光洋君はずっと妖艶さを増し、その顔立ちもプロとしての引き締まった表情に移り変わっていってる・・・という感じでした。


ソロで踊る時は、一振り一振り、舞うたびに溜息が出そうになります。(振付の中にある)縫い物をするしぐさとか、髪を一房口に含んで唇を引き結ぶ仕種などたまりません。ただ彼の演じ方はとても良い意味で淡々としていて、情に流されすぎない、そこが魅力だなあ、と思いました。

 媚びない凛としたオンナっぷり・・・お姉さんは好きです、それ(笑)。


公演当時の思い出では、大衆演劇名物「おひねり」をあげてる場面が妙に印象的でした。客席のオバサマファンが一万円冊で首飾り(汗)を作って首にかけてあげたり、小さな布にくるんだお金を舞台に投げ込む、それを光洋君や劇団員などが拾ってお礼を述べてました。これも一種の”伝統”ですし、そのお金が彼等の衣装代などに廻されてお小遣いにはほとんどならない、とは聞いておりますが、とにかく圧倒されました。


また会場では、光洋君の限定写真集やビデオなども発売され、終演後、光洋君も女形の姿のまま販売に出てきていたように思います。薄い写真集は購入しましたが、ビデオ*1は、かなり高価(30分 10000円)で泣く泣く諦めましたが、ずっとその時の思いが残っていて、つい最近ようやく中古ビデオを手に入れることができました。


ビデオは、12歳当時のもので、写真集のピンナップを撮影している時の映像や化粧をする姿、ラストにまる1曲舞台で踊る様子もありました。珍しい舞台裏、早替りの風景も。女の子じゃないのに、猛烈な勢いで下着姿になって着物を着替える様子にはいけないものを見てるようでちょっとドキドキ(笑)。どちらも今となるとお宝です。


光洋君はその後、片桐光洋嘉島典俊と名前を変え、地道ながらも実力も高めて多彩に活躍中とのことです。すでにこの若さで「芸能生活25周年」というのだからすごい。いつかまた成長した姿を拝みに行きたいと思うこの頃です。


芸能生活25周年を振り返る手記です。チビ玉ブームの裏の葛藤を知ることができます。


boysvoice-2.hatenablog.com

*1:自主制作に近いビデオでした。