BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

やはり名作っていいなあ・・・ウィーン少年合唱団の映画

私の運命を変えた一冊

私が本格的に(?)ボーイソプラノや少年モノにハマッたきっかけは、竹宮恵子さんの『鏡の国の少年たち』という本がきっかけです。この本を初めて手にしたとき、まるで”頭の上で鐘が鳴る鳴る〜♪”というほどに自分の趣向をハッキリ自覚した瞬間でした。以来、本書の中で紹介された映画・音楽などをしばらく追体験していたほどです。


そしてこの本の中で紹介されたのがきっかけで知ることになった2本の映画が、1957年ドイツ制作の『野ばら』と1962年アメリカ・ディズニー社制作の『青きドナウ』です。これらの映画は、ウィーン少年合唱団のまさに代表的な映画だと思います。後にも先にもこの2本を上回る少年合唱団映画はない(知っている限りですが)と思うとちょっと寂しい気がします。


鏡の国の少年たち

鏡の国の少年たち

【野ばら】

野ばら

『野ばら』の主演子役は、ミヒャエル・アンデ少年(役名:トーニ)。彼は確かミュンヘン少年合唱団団員だったと記憶しているのですが、これはちょっと不確かです。


ウィーン少年合唱団の団員ではないものの(歌声は団員の吹き替えかもしれませんが)、台詞を喋る時は可愛い声で、歌声も素朴なボーイソプラノなのであまり違いが気になりません。


トーニは孤児でひょんなことから知り合ったオジイさんの元で暮らし、教会へ行った時にウィーン少年合唱団の歌声に出会います。そこで見上げると天上から降り注ぐボーイソプラノ。とても感銘を受けて合唱団員に憧れます。


この時に合唱団員が歌うのがヘルべックの名曲「プエリ・コンシニテ」ですが、レコードジャケットそのままのクラシカルな7・3分け(笑)の少年達がなんとも魅力的です。この映画の素敵なところは、ストーリーよりも選曲の良さ。通にはたまらない?曲ばかり*1をほんの断片ですが、あちこちに散りばめてくれてます。


50年前の少年団員達の生活も垣間見ることができますし、オーストリア紋章のワッペンがまだ縫い付けられてない制服がなかなかシックで時代を感じさせます。ミヒャエル少年の次の作品『ほがらかに鐘は鳴る』は、一度見れば充分なほどの駄作だと思いますが(苦笑)、この『野ばら』は思い出深い作品です。


野ばら [DVD]

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「野ばら」は、今では手に入りやすい映画です。


ほがらかに鐘は鳴る [DVD]

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アンデ少年の二作目ですが、合唱団の見せ場は少ないのが残念。


菩提樹 [DVD]

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幻の復刻盤。アンデ少年が「野ばら」の前に出演し、「サウンド・オブ・ミュージック」の原案となった映画です。詳しくは⇒ id:sugiee:20100411

【青きドナウ】

一方の『青きドナウ』は、DVD化を切望している映画です。とにかくこの映画には本当に欠点がない!!


歌の得意なトニー少年(ヴィンセント・ウィンター)が合唱団のオーディションを受けて晴れて団員になってから、合唱団員としての生活をメインに据え、友情(ライバル意識や軽いイジメなんかもありますが)や親子の愛情をさり気なく組み込んでとても生き生きと描写しています。


合唱シーンもソロもたっぷり。特に教会で歌う「シバの人々よ来たれ」の見事さには何度見ても鳥肌ものです。トーニ、ピーター、フリーデル(役名です)といった子役達は、ディズニー・プロダクションの子役なので演技は玄人ですし、どう見てもお顔もアメリカ系ですが(笑)歌声の吹き替えは団員に違いなく、それも本当にお上手!です。


どのシーンも名場面になりえるのは、ウィーン少年合唱団の美しい歌声が至るところに溢れているからでしょう。


また、最近では見られなくなってしまったオペレッタ『ウィーンの昔の物語』('78年来日組も演じてます)が後半の見所になっているのも嬉しいです。ディズニー子役に負けぬ本物の団員達の名演技も楽しめます。日本のみならず、海外の少年合唱ファンからも復刻を熱望されているこの映画、是非とも生きているうちにこの願いが叶うことを望んでます。


余談ですが、この映画では少年達の本拠地、アウガルテン宮殿の屋内や外観が何度も映ります。実際に訪れたアウガルテン宮殿はとても小ぶりでお庭も広くはなかったのですが、まるで本物の宮殿の如く広く映るのはさすがに映画マジックなのでしょうか。


当時、この映画をきっかけにピーター役のショーン・スカリィ少年が大ブレイクしたという史実は聞いたことがありますが、ふっくら頬のヴィンセント君のほうが私好みでした。その彼も心臓発作で50歳の若さで亡くなっていたそうで、なんだかちょっとショックでした。いつまでも映像の中の少年達は、子供のまま永遠に生き続けている・・・と実感した出来事でした。

◆お薦め映画サイト:"Almost Angels"
 青きドナウの写真、ビデオクリップを見ることができます。  


Almost Angels [DVD] [Import]

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輸入盤DVDです。日本盤が出ないかな~。

*1:「私のママはウィーン生まれ」「バスティアンとバスティアンヌ」「かわいい弟よ」「ヨハン大公のヨーデル」などとても好きな曲がいっぱい