BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

注目の主演2作目『星になった少年』 柳楽優弥

象使いになった少年、の実話

先日、柳楽優弥君の『星になった少年』を見てきました。タイでの長期ロケや宣伝予告などで、だいぶ前からいろいろと話題として取り上げられていたので、「象を操る柳楽君」が見られるのは楽しみでした。動物にスポットが当たる映画ではなく、柳楽君が実在の人物を演じる、という点も興味がありましたし。


実話の重みということを考えると、率直な感想を書くのが多少ためらわれる部分があります。象使いを夢見て、20歳の若さで亡くなった坂本哲夢さんという青年の短い生涯を知ることができて、率直に「すごいなー」「夢があるって素敵だな」と思いました。また、母と息子の葛藤のようなものが淡々と描かれてて、その辺はリアルだなー、と感心しました。


一方、映画そのものの出来栄えとしては、ドキュメンタリーなのかフィクションなのかちょっと曖昧で半端な気がしました。日本での暮らしぶりなども、あれこれエピソードを詰め込みすぎて一面的だし、主人公の哲夢が、象使いなりたいと情熱を持つくだりがどうにも中途半端に感じられました。ツマラナイわけではないのですが、ストーリー展開が散漫なので集中力を維持するのが大変で、結構疲れを感じてしまいます。


テレビドラマのような”笑い”のシーンもちょっと寒かった(汗)ですし。私自身、動物に過剰に愛を感じることがないせいか、動物の可愛らしさを狙った演出はかえって逆効果な気がしました。そうはいえども、ラストはやはり常盤ちゃんとランディ(象)に泣かせられまくりです。


では何が見どころか、というとやはりタイでの象使いのシーンに尽きますね。柳楽君の顔が最初は、日本人日本人して戸惑いいっぱいで硬かったのが、象使いの訓練(?)をしていくに従い、ちょっと野性味を帯びた男らしい表情を見せるようになっていくのです。


そして、タイ人の少年達に向けるトビキリの笑顔がなかなか魅力的で、真っ黒に日焼けした姿も凛々しく、このタイでの映像は強烈でした。象の生態についても知らないことが沢山あって面白かったです。象が川の中であれだけ身体を沈めて動けるとは!とか。


ヒット作の後の作品というと、結構地味な作風のものになることが多い気がしますが、柳楽君は自然と自分を成長させる映画(外国での過酷なロケなど)を選んでいるので、今後には良い経験になるのではないかと思います。


どんどん少年から青年へと脱皮していってるのですが、相変わらず台詞のない時の顔や目の表情が逸品という感じです。いつか台詞だけでも泣かせるような演技を見せてくれる日が来るのかな、と楽しみです。


柳楽優弥主演映画 『星になった少年Shining Boy&Little Randy』 VISUAL BOOK

柳楽優弥主演映画 『星になった少年Shining Boy&Little Randy』 VISUAL BOOK

この他にも関連本が多数発売されました。

【タイの象乗り体験】

蛇足ですが、私も数年前、タイのプーケット旅行で象に乗ったことがあります。ちゃんと人乗せ用の駕籠を取り付けてましたが、かなりの大きさの象だったので本当に高い高い。背中もとても固くてビクともしない感じです。象使いの若者が声を出しながら運転(?)してくれるのですが、森の中をのっそりのっそり歩く象は、どんな乗り物とも違って予測不能な動きをします。


そのくせ安定感があるので、まるで雲の上にでも乗ってるようなそんな不思議な乗り心地でした。映画のように内地ではありませんが、タイ国のマークや言葉など個人的に懐かしく見ました。