BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

世界第一級の少年合唱団と言えば・・・テルツ少年合唱団

少年合唱団、その実はソプラノソリスト集団

テルツ少年合唱団

好みの少年合唱団は多々あれど、現在世界で第一級の少年合唱団の筆頭となるのは、やはりテルツ少年合唱団だと思います。


日本で知名度№1は、もちろんウィーン少年合唱団ですが、「その栄光はすでに過去のものになりつつあるのでは?」(汗)と思ってる少年合唱ファンも少なくありません。私が実際に聞いてきた中でも、この20年余りでジェットコースターのごとく実力が低下したと思われるのが、悲しいかなウィーン少年合唱団です。*1


それに比べ、実力を低下させることなく、優れたソリストを輩出し続けているのがテルツ少年合唱団です。これは、その指導者の力が一番だと思います。ウィーン少年合唱団は、優れた才能を持った少年達を世界中から集めているにも関わらず、指揮者が若い上にスパンが短く、どんどん入れ替わって行きます。


それに比べ、テルツ少年合唱団は、長年ゲルハルト・シュミット=ガーデン氏の卓抜な指導力により、鍛え上げられてきました。カンマーコーアと呼ばれる、最高実力のソリストのみが入れるクラスから、数々のオペラ(少年役)への出演、大曲への録音参加などがひっきりなしに続いてます。


日本公演は、'86年、'90年、'00年、'13年(追記)と'93「アポロとヒュアキントス」日本初演で来日しています。'86年は聞けませんでしたが、それ以外の公演は足を運びました。初めて聞いた瞬間、「これが少年合唱団か!」と驚愕。レコードなどで耳にしていた以上の圧倒的な声量と迫力で、度肝を抜かれてしまったのです。


さらにハーモニーやソリスト達の実力も並外れて素晴らしい!ソロの時も少年達は海外の多くの公演でソロを任されているだけあって、自信に満ちた表情で歌います。主要キャストが全て少年だけ、という「アポロとヒュアキントス」など、大きな日生劇場で堂々と演じるのですからやはり大したものです。これだけ優れた少年合唱団が最近は招聘先等の問題で日本へなかなか来日できないというのは非常に残念なことと思わざるをえません。

【 魅惑のソプラノソリスト達 】


私が大好きなソリストは、来日こそしませんでしたが、録音や漫画「バイエルンの天使」でも扱われているアラン・ベルギウス(Aran Bergius)君です。音楽家を両親に持ち、たぐい稀な美声と音感で大人でも難しい難パートを楽々歌い上げてました。映像版の「アポロとヒュアキントス」で見せた可憐で気高い少女メリアのアリアの素晴らしさは絶品!


また、歌劇『魔笛』の「夜の女王のアリア」という女性ソプラノ歌手の見せ場となる難曲も歌い上げ、当時、ヨーロッパで「神童」と呼ばれた少年でした。活動時期はアレッド・ジョーンズとほぼ同じ頃ですから、なんともすごい時代だったな、と思います。詳しくは→ALLAN


また、'70年代初期の頃のメンバー、ハンス・ブッフヒール(Hans Buchhierl)君は、その温かみのある、素朴だがなんとも味のある歌声でいまだに根強いファンがいます。その声は一度聞いたら、忘れられないほどに印象的です。最近は、一見技巧派と思われるソリストが多いのですが、そのルーツはこのハンス少年の柔らかな少年らしい歌声なのではないでしょうか。


来日組で印象深いのは、'90年のクリスチャン・フリークナー(Christian Fliegner)君。黒髪に天然パーマの非常に堂々とした大人っぽい少年で、声質は太いソプラノでしたが迫力満点でした。ソプラノ・パートでは「まだ歌うんかい!」(笑)というくらいソロを歌いまくりでした。この時のソリストは、個性派(特に見た目が・・・笑)揃いでしたが、歌の実力のほうは文句なし、でした。


少年合唱団のコンサートで良く歌われる「魔笛」の三童子のソロも、通常カットされるパミーナのソロをシュテファン・ベッカーバウアー(Stefan Beckerbauer)君(来日当時、足を怪我して松葉杖をしていました。)がどこまでも伸びるソプラノで歌いこなしていて感嘆しました。


このわずか数十年の間に優れた録音も沢山残していますし、女性ソプラノで代用していたパートなどもテルツ少年合唱団の団員で果敢にチャレンジもしています。まだまだ現在進行形で進化する面白い少年合唱団なのでさり気なく目が離せません。


バッハ:クリスマス・オラトリオ(全曲)

バッハ:クリスマス・オラトリオ(全曲)

  • アーティスト: テルツ少年合唱団,ブッフヒール(ハンス),シュタイン(アンドレアス),アルトマイヤー(テーオ),マクダニエル(バリー),バッハ,シュミット=ガーデン(ゲルハルト),レールンドルファー(フランツ),コレギウム・アウレウム合奏団
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD
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 超お薦め。廉価盤発売されました。ハンス・ブッフヒール君がソロ

バイエルンの天使 (1) (講談社漫画文庫)

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 たらさわみち著。全3巻。テルツ少年合唱団を題材に少年合唱団の生活を漫画にしてます。


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*1:大好きな合唱団だけに実は非常に落胆してます。