BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

8.13 赤坂ACTシアター 『ビリー・エリオット』観劇記

ビリー・エリオット

とうとう日本にやってきた!傑作ミュージカル

お盆に上京して見に行ってきた待望のロンドンミュージカル『ビリーエリオット』。久しぶりに重い腰を上げ、昨夜遅くブログを書いてアップするつもりがまさかのエラーで全消失してしまい、かなりの落胆状態でした。なので、いつものように書きなぐりでいきたいと思います。


私が見た回は、主役ビリーに木村咲哉君。アクロバットとダンスが得意な最年少のビリーとのこと。顔立ちもいわゆる”普通寄り、の可愛い男の子”ですが、上京前に写真を見ながら「私は、この子を見るのか〜。」と思い浮かべていました。


何せ5人もいるビリー役。チケット購入時には、キャストは大方決まっていたのでしょうが、事前には大人キャストしか分かりませんでした。決め手は日時とウィルキンソン先生役の柚希礼音さん(元宝塚男役トップスターで、在団中数回舞台を見ていたので即決)。ビリー役は、1年にも及ぶ厳しいオーディションで選ばれた、という話を聞いていたので、「まあ、どの子でも大丈夫かな」という感じでした。


その後、もう少し活字や映像で少年達の情報が入ってきました。観劇後に録画でWOWOWのドキュメンタリーを見たのですが、バレエが得意な子、歌が得意な子、根性で勝ち取った子、負けず嫌いの帰国子女、と個性がバラバラなビリー役の少年達を知って、「ああ、やっぱり何人か違うビリーも堪能したかったなあ」と軽く後悔しましたね。


熊本出身で、歌声のとても綺麗な未来和樹君(15歳で変声前)は、熊本地震中にオーディションを受けていて「こんなところで歌なんか歌っていていいのか」と、胸を痛めていたそうです。親しくしていた隣人の方に、LINEで自分の歌声を送ったそうで、その声が彼の優しい心と合わさって、とても透明で美しかったです。


また、シンガポール在住で家族の猛反対にも負けずにビリー役を勝ち取った努力の人、山城力君は、以前ビリーエリオットの舞台を見て感動し、日本でのオーディションをどうしても受けたくて、親の前で土下座したのだとか。お母さまが「10歳の子が・・・土下座するんだ。」と驚いたそうです。ダンス未経験な彼が、部屋の中にダンスフロアを作って自主練習している様子が、流れて感動。


一方で、バレエが得意でそれなりに入賞経験もあり、まさにエリート街道まっしぐらの加藤航世君、さすがバレエの実力は飛びぬけていたので、気になる存在です。アメリカ育ちの前田晴翔君は、「どのダンスでも誰にも負けたくない」と強気の精神力が印象的な少年。オールマイティーなダンサーのようですね。


さて舞台に戻って、もう一人のキーパーソン、マイケル役は城野立樹君。愛嬌のある笑顔と舞台度胸で、タップの見せ場も気持ちよく踊りまくり、こちらは楽しめました。ただ、マイケルはビリーの親友でありつつも秘めた恋心を抱いてる少年なだけに、もうちょっと色気が欲しかったかも ← やっぱ無理か(笑)。


カーテンコールでは、二人のツーショット写真を撮れる時間がありました。「僕たちの写真をSNSにどんどんアップして下さい!」というありがたいお言葉の通り、ブログにアップしました。でも、ライトで顔が白抜けしちゃってて(スマホのカメラだったし)、う〜ホント残念。しかし、ちょっと前まで「撮影お断り」が当たり前だったのに、随分と時代は変わったものです。


舞台を見た感想

すでに映画化されたロンドン版「ビリーエリオット」と、演出、舞台セット、衣装などはほぼ同じでした。それもそのはず、ロンドン公演を成功させたスタッフが日本版を支えていたからです。1年にも及ぶオーディション&稽古、4か月にもわたる長期公演、ホリプロの社運をかけた製作、と言われるだけあってのかなりの力の入れ方と思いました。


大きく違うのは、日本人キャストにおる、全編日本語というところ。当たり前ですが、これはかなり大きな要素でした。ストーリーや台詞に気を取られず、ダンスや歌を集中して楽しめるからです。炭鉱が舞台ということで日本に置き換えたのでしょうが、皆が九州弁で話しているのはちょっと不思議でしたが。。


それから、普段着で現れてもそこは洗練された英国のキャストに比べると、日本人キャストはどこか庶民的でとても親近感を感じる存在(そりゃそうだ)なのも、かなり違いましたね。'80代が舞台のミュージカルってかなり数少ないと思いますが、曲調もダンスも今と違和感のない近さを感じました。


木村ビリー、暑さや疲労もあったのでしょう、小さなミスや危なっかしい場面も少しありましたが、なんとか長丁場を乗り切り、笑顔で終演。途中、放心状態な表情もチラッと見せていましたが、「よくやった!」と褒めてあげたい気持ちです。まだ少年なのに、こんなとてつもないハードな役というのはなかなかないですから。


しかも、ビリーは出ずっぱりでトータルで10分程度しか休憩がない、それに比べて踊りの見せ場はどんだけあるの、ってほど。フラフラにならないほうがおかしい。木村君の持ち味は、イノセンスというか無心。とにかく全力でぶつかって飛んで跳ねて回って、身体全体で踊る喜びを表現してくれてました。


彼にとって一番難しいのは、バレエだったと思いますが、何年も練習したわけではないのに、基礎的な動きはできるようになるんだなあ、と感心。習得した高度なテクニックの裏の涙ぐましい努力を想像して、本当頭が下がる思いでした。初めからすごく完成されている子も素晴らしいですが、少しずつ上達していく姿というのがまたいいですね。


今回の舞台で、とても印象的だったのは、”白鳥の湖”がバックに流れている中で、大人ビリー&子供ビリーのデュエットダンスでした。その後のフライングも、かなりの高さまで吊り上げられていて、そこで体勢をキープしているのがまたすごくて(腹筋すごい!)。


できればすでに成功している『アニー』のように、毎年公演があればいいのですが、これだけの規模と準備、費用がかかるとなると、やはり数年に一度、というのが無難なところでしょうか。客入りも良さそうですし大成功して、近いうちにまた再演して欲しいです。せっかく協賛に入ってるのだから、日本版舞台もWOWOWあたりで放映されるといいなあ。


客席には、舞台上の少年少女と同世代の男の子を連れた親子連れが目立ちました。もしかしたら、キャストのお友達や関係者かもしれませんが、この舞台を見て、ビリーに憧れて、「自分も絶対このミュージカルをやりたい!」と燃え上がってくれる、未来のビリーがいてくれることを願った1日でした。




この日のキャスト表です。


もう廉価版でてるんですよね。


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