BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

最高難度のミュージカル 「ビリーエリオット」

少年ダンサーの魅力

友人の大絶賛を聞いて、なんとか映画館で見れないものか*1、と待ち望んでいた「ビリー・エリオット ミュージカルライブ」。結局、半年待ってようやくブルーレイを購入し、見ることができました。


もともと、15年前にジェイミー・ベル主演で「リトル・ダンサー」という映画を見ており、舞台化やミュージカルCDの発売という情報も当然おさえていたのですが、日本でその舞台を見ることはなかなか困難だったので、このような形でようやく出会えたことが奇跡のようです。


映画の中でジェイミー・ベルが爆発的に踊り狂うシーンは、そのかなりの破壊力*2に呆気にとられたものですが、いかんせん私の好みの少年タイプではなかった(笑)のが大きくて、素敵な映画であることは間違いありませんが、それっきり見返すことはありませんでした。


この上なく完成度の高いミュージカル舞台


今回、エリオット・ハンナという11歳の少年がビリーを演じているのですが、もうその存在感が素晴らしくて脱帽です。整った顔立ちで、ちょっと生意気そうな、というか利発なクールビューティ。一方、はにかんだ笑顔や、愛しい母に潤んだ瞳で切々と語りかける表情など、大きな存在感を見せます。


それこそ生の舞台で、詰め込まれているダンスシーンは、なかなかのボリュームですし、要求されるものが超ハイレベル。更に歌って演じて、ミュージカルの魅力も満載です。エリオット少年は、飛んで跳ねて踊って走って、全編止まることがなく駆け抜けていきます。こんな過酷なミュージカルをわずか11歳で演じきれる少年がいることが信じられないほど。


ストーリーも良く出来てて、イギリスの田舎町といえばお馴染みの「炭鉱で生きる男達の物語」というのがバックボーンにあり、親子の対立や葛藤があり、「バレエなんてゲイがやるもの」という当時の(今も根強い)男女性差に対する偏見や無理解をしっかり描きだしていたり。もちろん、芸達者な子役達も見どころの一つ。


私的に好きなのは、女装が趣味な親友マイケルとの”大らかな交流”です。マイケルの、とあるしぐさに「オカマなのか?」と聞いても、そこでビリーはひるまず、ありのままを受け入れるところが、もう大人過ぎて素敵!『リトル・ダンサー』でもそのくだりはありましたが、さすがはミュージカルだけあってマイケル役の子もタップダンスがすごく上手。


特別映像を見たところ、過去10年のミュージカル歴史の中で70人のビリー役が誕生しており、ハンナ少年は最年少の9歳でオーデション合格を勝ち取ったのだとか。このミュージカル映画自体が、10周年記念の特別版だけあって過去のビリーを演じたバレエダンサーも特別出演していたので、尚のこと、見どころいっぱいでした。


このミュージカル、いつか日本で生で見られたらいいなあ〜。最近は、日本でもバレエ男子が増えてきてるようなので、いつか日本版なんかが作られたら面白いかもしれませんが、あのハンナ少年レベルの少年を見出すとしたら、あと10年はかかるかもしれないですねえ。


・日本版「ビリー・エリオット」オーデション開始、2017年上演予定 → なんと日本でも上演することが予定されているようです。オーデション後も1年をかけて養成していくようですね。


炭鉱とバレエとのミスマッチな対比が、どちらも強烈に残りますし、丁寧に描いていて感心します。親子の情や、戸田恵子さんに似ている?恩師など、ビリーを取り巻く人々も個性的で素敵です。「リトル・ダンサー」を見て感動の涙を流し、舞台化を薦めたエルトン・ジョンが音楽プロデューサー。


舞台化の元になった映画。ジェイミー・ベルも、ダンサーではなく、大人の俳優になったようですね。ラストに当時話題だったアダム・クーパーの男性版「白鳥の湖」が出てくるが印象的でした。


Billy Elliot

Billy Elliot

2006年に発売されたCDがきっかけでこのミュージカルを知りましたが、ようやく最近購入しました。ミュージカル映像を見ないと音楽の良さもイマイチ分からないかな。ビリー少年のソロもそこまで上手というわけではないので。でも今は「Solidarity」が、頭の中で廻ってます。


boysvoice-2.hatenablog.com

*1:残念ながら一部地域のみの公開でした。

*2:踊りのシーンは、「フットルース」を思い出すんですよね。