BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

異色のボーイソプラノグループ Die Chorjungen

Die Chorjungen

私にとって思い出深くて大好きなドイツ系合唱団、アウグスブルク大聖堂聖歌隊から3人のボーイソプラノソリストが選出され、珍しいアルバムが発売されました。日本では、今年の春頃に発売されて、もうワクワクが止まらない・・・と手にしたのですが、企画モノの域を出なくてちょっとばかし残念感あり。


「コアユンゲン(若き合唱団員、の意)」のメンバーは、ジャケット写真の向かって左から、(ニコラス・シュバンドナー(Nicolas Schwandner)、ゲオルク・シュタルツ(Georg Starz)、ヤン・エンデレ(Jan Enderle)。13歳から14歳の少年達とのことです。


私の中で、アウグスブルクソリストってもっと硬質のピーンと伸びのあるソプラノのイメージが強かったので、冒頭「TEARS IN HEAVEN」のソロで、ヤン君のやや鼻にかかったような柔らかいソプラノボイスに「あら?」と思ったものです。ニコラス君は更に細めの声で、おそらく一番男の子らしく聴きやすかったのは、ゲオルク君かな。


ソリストの3人は、清々しくて、決して力不足なわけでもなく、丁寧によく歌ってるんです。でも何か、ひっかかりが足りなくて、あまり記憶に残らない。なんかお上品すぎ優しすぎで、なんとなく「クワイヤーボーイズみたい」(笑)*1と思いながら、繰り返し聴いておりました。


私の中では、アウグスのソリストって、可愛いさより実力派、の印象が強かったのですが、他の少年合唱団同様、'80〜'90年代のソリスト達が、たまたま”ツワモノ揃い”だっただけなのかも。とりわけ、アルトボイスは、数多い少年合唱団の中でも、アウグスが一番好きだったので。ゾクゾクするほど深みと大人の色気のあるアルト*2が頭に焼き付いておりました。


それにしても、このアルバムはちょっと欲張りすぎ、といいますが、どっちつかずというか構成がとても変です。ポップスで始まって、2曲目で「美しく青きドナウ」だし、ドイツ民謡があるかと思えば、定番の宗教曲がきて、最後に「You Raise Me Up」で締める、というなんだか分からない(笑)作りになっております。


「ヒーリング系の、ボーイソプラノをあまり聴かない人に向けてのアルバムを作ろう!」と張り切ったのは分かるのですが、なんだかちょっともったいない・・・ような印象。リベラのヒット後、この手のアルバムが増えて、ラフに楽しめるのはいいのですが、なんかどれも似たり寄ったりで、とび抜けた感じがしない。


そのため、この手の少年グループものは、メンバーの変声後に、なかなかグループが続かないんだろうなあ、と思ってしまいます。一方、一時の企画でも良いから、いろんな合唱団から、デュエットやトリオのグループが出てきて、脚光を浴びるのは良いことかもしれません。少年合唱の裾野も広がりますし。


きっととび抜けて上手なソリストであれば、ソロアルバムが発売されるので、2人や3人で組んでというのは、そこまでの上手さはないけれど(例外もありますが)、ハーモニーを聴かせるとかバリエーションで楽しませる、という意味合いが多いのでしょうね。今回もソロで聴かせるというより、3人の掛け合いが面白いし、なかなかに綺麗です。


特に後半がいいです。なんだかんだ言って、3人で歌われる「You Raise Me Up」には、ホッコリして心が温かくなってきます。イギリス系のみならず、ドイツ系にもいろいろと進出して欲しいものです。



Die Chorjungen

Die Chorjungen

ド迫力のジャケット。こういう分かりやすい写真好きですねえ、これは買わねば!と思わされます(笑)。


boysvoice-2.hatenablog.com
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*1:第一期クワイヤーボーイズからも早7年の月日が流れているんですね。

*2:最近は、おっ!と思うアルトソリストにもなかなか出会えておりませんが。