世界中を夢中にさせた少女 テンプルちゃん
私の母が幼い頃、祖母に連れられて見たという劇場映画、その幼きスーパーヒロインは、シャーリー・テンプル(Shirley Temple、1928/4/23生)でした。
何気なく、その話を覚えていて頭の隅にあり、かなり昔に映画パンフレットだけ入手していました。それは、彼女の代表作『小公女』('39米)だったのですが、ようやく500円DVDで見ることができました。テンプルの顔立ちは、今の子役のシャープさとは違ってぽっちゃりとした福顔です。
頬にはトレードマークの大きなエクボがあり、笑顔はなんとも人々を惹きつける魅力があります。それでいて、普段は大人びた凛々しい表情も持っていて、生来の芯の強さをにじませています。それでも当時は、スクリーンに映る子供達に思い切り天真爛漫さを求めていた時代なのでしょう。大恐慌の余波が続く厳しい時代に、人々に夢と希望を与えた代表が少女テンプルちゃん。
題材は、名作中の名作である『小公女』。イギリスの裕福な子女の通う名門女子校(寄宿学校)へ転入したセーラが、最愛の父親を失ってから思いもよらぬ苦労を背負うことになります。悲惨な状況でも、なんとか健気に運命に立ち向かうセーラ役をとても”逞しく”(笑)演じています。最近も実写映画で小綺麗な子役が演じていましたが、テンプルちゃんのセーラは、健康優良児チックです。彼女は、ダンスも得意だったそうで、途中バレエの回想シーンが挟まれていて印象に残りました。
テンプルちゃんは、世界中の大人に愛され、歴史に残る名子役でしたが、その後ティーンエイジャーの壁を越せなかったようで、銀幕から姿を消します。やがて結婚し、政治の世界へ進出。外交官として活躍した他、国連でアメリカ代表を勤めたり、アメリカ大使として各国で暮らしたり*1、と大いなる変貌を遂げ、新たな人生を開いて成功したスーパーウーマンとなりました。
子役時代のインタビューも数限りなく申し込まれるようですが、大人になってからはほとんどその要望に答えてはいないようです。成熟したレディに、過去の面影を求められ続けるのは、重荷なだけなのかもしれませんが、「幼かった上に忙しすぎて記憶がない・・・。」というのも納得の話。
ジャッキー・クーガンのエントリーで紹介した『ハリウッドのピーターパンたち』という本の中では、かつての人気子役であった作者自身が、誰よりも関心を抱いていた?のが彼女だった(何せ初めてのラブシーンのお相手(笑))、のも分かります。大変なステージママのおかげで同年代の少女達とも遠ざけられていたシャーリー。
しかし周りから疎まれていたその母に対しては、自分を守ってくれた、と好意的にとっています。良くは知らないので想像の域を出ませんが、日本でいうなら美空ひばり母娘のようなものだったのかもしれませんね。今でも沢山の映画が生まれ、沢山の個性的な子役が活躍していますが、70年も昔の子役の映画が見られる、なんてことはなかなかないでしょうね。
◇参考サイト:V[[Eev@Shirley Temple
→テンプルちゃんの詳しい経歴が分かります。
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*1:まだその人気子役時代を知らない頃にテレビの取材で見た記憶があります。