BOY’S VOICE 新・永遠の少年たち

少年の声と少年文化に特化したブログです。

’06年ウィーン少年合唱団来日公演 感想

4月下旬より、恒例のウィーン少年合唱団の来日公演が始まっております。GWにBプロ、来月始めにAプロ、という昨年と全く同じ日程でコンサートを見ることになりました。ウィーン少年合唱団のファンになった'80年代は、3年(稀に2年)に1度という逢瀬がとても貴重で、会えない時間が長いほど、その想いは燃え上がったものです。*1


ここ最近は、毎年来日という昔では考えられないほどの贅沢なのですが、これがまた良し悪しもあってどうもテンションが上がりません。すでに私のイメージの中では、'80年代までの古式ゆかしき少年達の歌声が耳に焼き付いてしまって、かえって最近の少年達の歌声を純粋に楽しめなくなってしまっており、かなり損な気分になってしまうのです。*2。今年も最初の10分位は、正直どんよりと落ち込んでいました。決して演奏が悪いわけではないのですが。

【 コンサート雑感 】


なかなか良かった昨年の来日メンバーの思い出でもまだ1年前とは思えない状態でしたが、今年のメンバーは一体どんなものか?Bプログラムを聴いた印象では、今年のハイドン・コーアは「ハーモニーの組」といった趣きでした。ソプラノとアルトのバランスが良くて、ハーモニーが美しい。突出したソリストは居ませんが、それなりに歌えるソプラノが何名かいて、ソロも顔ぶれを変えて飽きさせませんでした。また指揮者への集中度&演奏に対する真剣さは、近年稀に見る素晴らしさで、なんとも”優等生揃い”の良いコーアだなあ、と感心しました。


印象的だったのは、眼鏡をかけたロベルト・マスナー(Robert Massner)君。第2ソプラノソリストから第1ソリストへ移行しつつあるような時期かと思われます。最初のソロ「ラウダーテ・ドミヌム」こそ緊張のあまり、あんまり芳しくなかったもののその後はどんどん声が出てきて、とてもウィーン少年合唱団らしい素朴でまっすぐな歌声を聞かせてくれました。


変声期に入ったかな、という第1ソリストアダム・ウロセヴィッチ(Adam Urosevic)君は、先日の『ミュージック・フェア21』出演の時、野ばらのソロをとった少年ですが、ガッチリした体つきには似合わぬちょっと繊細なソプラノで歌うので意外でした。


コンサートで印象的だったのは、パーセルの「汝ら芸術の子らよ」からの二重唱、”Strike The Viol”。前述のロベルト君のソロがとても美しく、これぞウィーン少年合唱団!という魅力に溢れていました。また、終盤近くで歌ったSMAPの「世界に一つだけの花」。ウィーン少年合唱団には珍しいポピュラーな選曲が楽しかったです。こういう普段、ボーイソプラノボイスでは聴くことのないような曲を聴くとむしろ少年合唱団の面白さを感じられて良いのでもっと歌って!(笑)という感じです。


ここ最近、来日メンバーには楽器部門の団員がいて、スネアドラム、アコーディオン、ピアノ、打楽器など、コンサートの中でいろいろな楽器を演奏することがありましたが今年は、なんとトランペット登場!随分、現代的になったものだ、と不思議な気分になってしまうのですが、合唱団も観客を楽しませようと前向きな姿勢を感じさせてこれはこれでいいのかな、と思ったり。バラエティに富んだ分、十八番のワルツやポルカ、民謡などが減って少し寂しかったりもします。沢山聴いているときは、「またか」なんて飽きてたりしていたのにゲンキンな自分。


コンサートが終わってから、団員が顔見世にホールから出てくると沢山のファン・一般人にあっという間に取り囲まれて大変な状態になっていました。久しぶりに団員の写真でも、とカメラを向けましたが、よく見ると我先にと写真を撮るお爺さんとかカメラ付携帯で撮影する外人のオジさんとか、なんか不思議な人々もいっぱい紛れていて、いやあ皆さん、やはり根はミーハーなんですね、なんて感じた日でした。

ウィーン少年合唱団公式ファンクラブ
 → 今年は更新止めようかと思案中だったりしますが(汗)。来日する少年達の写真くらいしか、得られる情報がないのが一番痛いところではないかな。


ウイーン少年合唱団来日ベスト・2004

ウイーン少年合唱団来日ベスト・2004

 東芝EMI録音、過去の来日メンバーのアルバムより集められたベスト盤。


boysvoice-2.hatenablog.com

*1:香港・台湾などは、同じアジアとはいえ日本と入れ違いの時期の公演でメンバーも変わったのでしきりに噂が飛び交ってましたね。

*2:まるで年寄りの愚痴のようですが・・・